純黒の悪夢16 ページ21
Aが現場に着くと物々しい状態であった。銃撃と爆発で原型をとどめていない観覧車の2つのホイールは水族館の方へ転がっており巨大なサッカーボールで止められていた。水族館の客は先に到着していた警視庁と警察庁両職員によって速やかな避難誘導が行われている最中であった。
「ーー。」
Aは放心状態で変わり果てた観覧車を見上げると、意を決したようにその観覧車の元へと走りだした。
何故か降谷はそこにいると自信があった。
「……これは…………」
巨大なサッカーボールで止められていると思った観覧車のホイールだったが、近くに来たら本当に止めているのは楔状に潰れたクレーン車だった。こんなところにクレーンが元々あったとは考え難い。運転してこの位置に持って来た人物がいるはずだ。
中に人がいるのだろうか、レスキュー隊がクレーン車のドアを開けようと奮闘していた。
「……っ、」
Aは足が震えて動けなくなった。
違うよね?ちがうよね…?発信器の電波が消えたのは、クレーン車の中で潰れたからじゃないよね?
最悪の事態を想像してしまったら恐怖がAの中を支配した。降谷を探しに走り回りたいのに足が動かない。
「…………っくそ、」
何をやっているんだ私は。零さんを守るために命を賭けると誓ったはずなのに、
結局何もできない…。
「…………A?」
視界が絶望に染まり切るところで求めていた声が聞こえた。Aは声の方へ振り返った。
「れい……さん……?」
そこには汚れた白いTシャツを着た降谷が立っていた。
「零さん!!」
Aは堪らず降谷の元へと駆け出した。降谷に飛びつく様に抱き付けば、降谷も抱きしめ返した。二人ともお互いの存在を確かめるように強く抱きしめ合った。
「A…」
降谷に呼ばれてAは顔を上げると、荒々しく口付けられた。Aの後頭部をクシャリと抑えて固定する降谷の首にAは手を回してしがみ付いた。
Aは降谷の蒼から目が離せなかった。降谷もまたAの漆黒の瞳を見つめて、目を閉じる時間も惜しいと言うほど見つめ合って口付けを交わした。
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ライス(プロフ) - とても深いグリーンさん» コメントありがとうございます!ホワイトもお読みいただいて!ありがとうございます。二足の草鞋にした途端に更新がさらに遅くなってしまって申し訳ないですが、更新頑張ります! (2018年3月26日 20時) (レス) id: 558584540e (このIDを非表示/違反報告)
ライス(プロフ) - 羽田莉來さん» コメントありがとうございます!そうですよねー!私も書いてみたいです!今後書けたらいいなぁと思います! (2018年3月26日 20時) (レス) id: 558584540e (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - 最近更新してくださってうれしいです(^^)ホワイトも楽しく読ませて頂いてます。両立は大変かもしれませんが頑張って下さいp(^-^)q応援してます♪ (2018年3月19日 20時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
羽田莉來 - 夢主が公安時代の、付き合いたての時のお話がいつか見てみたいです!どっちが、どんな感じで告白したのかとか気になります。余裕がある時でいいので、検討して頂けると嬉しいです。スルーして頂いてもいいです笑 応援してます! (2018年3月15日 23時) (レス) id: 0caa1fa3ee (このIDを非表示/違反報告)
ライス(プロフ) - 友の死回想編は一応完結になります。この話の続きとしてシリーズ1の女子会の回想に繋がります。なかなか更新が遅くて申し訳ないですが、映画までに裏切りのステージやりたいですね! (2018年3月5日 21時) (レス) id: 558584540e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライス | 作成日時:2017年11月29日 21時