再会2 ページ35
目の前にいるのは安室透ではなく降谷零だった。
「わたしも自分の意思で離れることを了承したんです。でも、わたしも側で零さんを支えるべきだったって後悔していました。ずっと、会いたかった。」
「ごめんなさい、零さん」とAが呟くと降谷はAを抱きしめる力を強めた。
「身勝手だとは分かってる。だが、もう離したくないんだ。」
降谷はAの肩を掴んで向き合う形になった。先ほどポアロで見た真剣な瞳とはまた違う、降谷の瞳は真剣な中に不安が揺れている。
「急に突き放して、愛想をつかされただろうということは重々承知してる。だが、安室透を拒絶せずに受け入れてくれて、天にも昇るほど嬉しかったんだ。俺と、まだ間に合うなら、俺のことをもしもまだ好きでいてくれているなら、やり直してくれないか?A。」
その言葉にAの瞳からは大粒の涙が溢れ出した。
「れい、零さんは、勝手です…。きゅ、急に別れようって言ったり、急にやり直そうって言ったり…」
「うん。」
「わたしがどんな気持ちで2年間過ごして来たと思ってるんですか…零さんが無事かどうかも分からない中で…零さんちゃんと寝てるかなとか、零さんちゃんとご飯食べてるかなとか、考えて…」
「うん。」
「何をしても、零さんと一緒にした思い出がいつも浮かんで…」
「…うん。」
「わたしが零さんをもう好きじゃないかもしれないと思われるのは、すごく心外です!!」
「好き?好きじゃないですよ!零さんなんて!」
Aは降谷をキッと睨んだ。涙目で睨まれても怖くないが、降谷は動けなかった。
「愛してるんです。誰よりも。」
その瞬間、Aが叫ぶように言い放った言葉ごと降谷の唇がAの唇を飲み込んだ。
「ん…ふ、れ…いさ……」
噛み付くように繰り返される口付けにAは降谷の名前を呼ぶが、そのために開いた口内に降谷の舌が入り込む。
「ん…ぅん……んん…」
口内を動く降谷の舌にAもおずおずと自らの舌を絡ませた。激しい口付けにAの腰が砕けそうになるのを降谷が支え、二人はそのまま床に座り込んだ。
降谷はAの頭に手を添えてもう一度抱きしめた。
「まいったな。Aに先を越されるなんて。」
降谷はAの頭をぐっと自分の胸に押し付けた。
「俺の方がAのことを愛してる。もう二度と離さないから覚悟しとけよ。」
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風間 - アキさん» わざわざ突っ込む必要なくない?あなただってそうして 発砲 だとわかってるんだし。 (2022年8月11日 21時) (レス) @page19 id: b391deb645 (このIDを非表示/違反報告)
アキ - 『かなりの至近距離での発泡』・・・炭酸?『発砲』では? (2019年11月30日 18時) (レス) id: e7946caf9a (このIDを非表示/違反報告)
シイラ - 面白い!どんどん読めちゃいます! (2018年7月30日 7時) (レス) id: 768ba98b2e (このIDを非表示/違反報告)
ふなっしー - ふなっしー (2018年7月30日 7時) (レス) id: 768ba98b2e (このIDを非表示/違反報告)
ライス(プロフ) - ういさん» はじめまして!この小説を見つけていただいてありがとうございます!執行されたらもう降谷さんから後戻りできないですよね笑 2周目!ありがたいです。何回読んでも読み応えのある作品が作れるように頑張ります! (2018年7月17日 21時) (レス) id: 558584540e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライス | 作成日時:2017年6月1日 15時