女子会3 ページ21
「A、別れてくれないか。」
そう呟いた彼、降谷零の瞳は闇色に曇っていてた。
「………え?」
突然の別れの言葉にAは眉を寄せた。
「Aの今回の怪我は俺の所為だ。」
「零さん…何言って、」
この怪我は組織のスナイパーにやられたものだ。降谷が責任を感じる要素はどこにも無いはずである。降谷はAをぐっと抱きしめた。
「俺は潜入中だから何もできない、Aを護ることも出来なかったし、撃った犯人が誰だか分かっているのに逮捕できない。」
「零さん…」
「お前はあのスナイパーに顔を見られている。この先、あの組織を追い続ければ奴にまた狙われるかもしれない。」
降谷の抱きしめる力が強くなった。Aの骨がミシッと音を立てたが、降谷に痛いと訴えようとは思わなかった。
「もし俺との関わりがバレてしまったら、俺が消されるのはもちろんだが、組織は必ずお前を消そうとするに違いない。」
「そして奴のスナイプ率は十割だ。」と降谷は悔しそうに言った。少し前に降谷とともに組織に潜入していた公安の仲間が素性がバレて自決に追い込まれたばかりだ。それもそのスナイパーが行なったという。
降谷は密着していた身体を話し、距離をとった。
「だから俺と別れてくれ、A…!」
Aと目を合わせた降谷の瞳は闇色の決意が灯っていた。
「自決したアイツの件もあるから、これから暫くは公安に出入りは出来そうにない。A、お前と会うのも今日限りにしたいんだ…。」
悲しさなのか悔しさなのかAの瞳が歪んだ。
「俺は、Aまで失いたくないんだ。」
彼は、零さんは、あまりにも失いすぎている。スコッチとして潜入していた自決した公安の仲間は零さんの親友で幼馴染だ。彼以外にも零さんの大切な人たち、警察学校時代の仲間は皆命を落としていた。
親友の死が今の零さんの心を闇に落としているのは明らかだった。
(今、私まで死んだら零さんは…。)
もちろん死ぬ気で捜査しているわけではない。だが、公安という立場はあまりにもその可能性が高かった。それに零さんの恋人ということが更に自分の身体を危ういものにしていることには違いなかった。
(このままでは零さんは壊れてしまうかもしれない…。)
ただでさえ精神が不安定になる潜入捜査である。自分の存在が零さんに不安を与えて、零さんの立場をも危うい状態にするかもしれない。
そう考えると答えはひとつしかなかった。
「わ…かった。」
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風間 - アキさん» わざわざ突っ込む必要なくない?あなただってそうして 発砲 だとわかってるんだし。 (2022年8月11日 21時) (レス) @page19 id: b391deb645 (このIDを非表示/違反報告)
アキ - 『かなりの至近距離での発泡』・・・炭酸?『発砲』では? (2019年11月30日 18時) (レス) id: e7946caf9a (このIDを非表示/違反報告)
シイラ - 面白い!どんどん読めちゃいます! (2018年7月30日 7時) (レス) id: 768ba98b2e (このIDを非表示/違反報告)
ふなっしー - ふなっしー (2018年7月30日 7時) (レス) id: 768ba98b2e (このIDを非表示/違反報告)
ライス(プロフ) - ういさん» はじめまして!この小説を見つけていただいてありがとうございます!執行されたらもう降谷さんから後戻りできないですよね笑 2周目!ありがたいです。何回読んでも読み応えのある作品が作れるように頑張ります! (2018年7月17日 21時) (レス) id: 558584540e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライス | 作成日時:2017年6月1日 15時