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「こちらがカークランド侯爵です。」
アメリカ。富豪、コール家の応接間にて対応する、一組の男女の姿があった。
「……はじめまして、侯爵。」
紹介された、無口な男にお辞儀をしながら女が口を開く。
彼女こそが、このコール家の令嬢。エリザベス・コールその人であった。
「……」
綺麗な金髪に、翠の目。彼、アーサーはちらりとだけエリザベスを見て。すぐに、その目を自らの紅茶へと移した。
「……侯爵?あの。」
「……」
エリザベスが声を掛けても、目を合わせようともしない。エリザベスは誰にもバレないように、ため息をついた。
両親が勝手に決めた縁談。軽い顔合わせということで集まったのだが、早くもエリザベスの心は重く、曇りつつあった。
この人が、結婚相手。
目も合わせようとしない、無愛想で。恐らく、彼自身も望んでいないであろう、この結婚。
(……先行きが不安ね……)
ぎこちない空気の漂う中、仲介役と父親が話し込むのを横目にエリザベスは自分のティーカップに手をかけたのだった。
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年12月28日 1時