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「エリザベス……って、お前が前言ってた……」
「そう。アーサーの奥さんだよ。」
フランシスの目が見開く。当たり前のことだった。国が子を成すなど、聞いたことがなかったのだから。
「彼は、言ってしまえば半国家……国のなり損ないだよ。どういう生まれ方をしたかは知らないけれど、彼は国の血を引いている。」
「……つまり?」
「だから……つまり、エリザベスも国の血を引いているはずなんだ。でも、そのことを知らないんだよ。アーサーも、エリザベスも。俺も、詳しく知ってるわけじゃないからぼんやりとしか言えないけれど……」
国の血を引いた娘であるかもしれない。その可能性は、大いにフランシスを驚かせていた。
もし、それが本当ならば。それを、早く言わなくてはならない。しかし、今の時点では不確かなことである……
「……フランシス。俺が、直接探りを入れるよ。」
アルフレッドは、顔を伏せたまま静かに言った。
「アーサーのためとか、そういうんじゃない……でも、俺も知りたいんだ。」
ふらりと自分の前から姿を消した、国のなり損ないのことを。
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年12月28日 1時