ご飯会? ページ45
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あれから数日かけて深澤さんから貰った本を読んだ。
「何よりも大切なのは勇気、か」
深澤さんが言っていた通り、本当に作者の方の的確なアドバイスが多くてスラスラと読めた。
ab「A〜何読んでるの?」
「え?…なんだ、亮平か。この間古本屋さんに行った時に貰った本読んでるの。『人生はちょっとしたことで変わる』んだって」
ab「へえ。意外とそういうの読むんだね」
「意外とってなによ、意外とって」
可愛い顔しながら何気に毒舌な亮平。
見た目とのギャップってやつだ。
私の隣に座り、横から覗き込むようにしてしばらく眺めていた亮平は何を思ったのか、私の腰に腕を回してきた。
「ねえ、読みにくいよ」
ab「んふふ、Aあったかいね」
「そりゃあ人間だもの…またお兄ちゃんに見つかったら言われるよ?くっつき過ぎだって」
ab「今照いないからいいの」
最近どういうわけか亮平がスキンシップを取りたがるようになった。
今もこうして離れるどころか抱き締める力が強くなっている気がする。
ab「あ、そういえば舘さんから伝言頼まれてたんだった。今日の夜佐久間来るって」
亮平はそのままの体勢で話す。
首元に息が掛かって少しくすぐったい。
「そうなの?」
そういえば、なんで佐久間さんが?と思った人もいるはず。
実は、兄が第一発見者になってしまった時に事情聴取を担当したのが佐久間さんだった。
その後、我が家の近くを歩いていたのを見かけ、話しかければこの辺に住んでいるんだとか。
それから兄とも亮平とも仲良くなり、なんなら一番亮平に懐いた(?)佐久間さんはほんと極たまにこうしてご飯を食べに来ることがある。
ab「佐久間来たら賑やかになりそうだよね。あ、でも目黒さん?と康二くん?は来れないんだっけ」
「そう。目黒くんが体調崩しちゃったんだって。だから康二くんはその看病で来れないって連絡きてた」
ab「会ってみたかったなあ」
未だ二人に会ったことがない亮平はぷくっと口を膨らませて溜息をついた。
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作者名:あさい。 | 作成日時:2023年2月22日 2時