la coexistence (ページ44)

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「ただいまー」

iw「おかえり、どこ行ってたの？」

「最近よく行ってる古本屋！店主さんがご好意でこんな本くれたんだよね」

家に帰ると、ちょうど兄も帰ってきたところのようだった。
出迎えてくれた兄に見せるため、鞄から本を取り出す。

「これなんだけど…」

iw「…え？これ…」

ニコニコと笑っていた兄の表情が固まる。

「え、お兄ちゃんこの本知ってるの？」

iw「……ちょっと見せて」

「？、はい」

兄は深澤さんから貰った本をパラパラとめくる。
なにかこの本に思い入れがあるのかな？

たまにぴたっと手を止めては眺め…を何度か繰り返した後、パタンと本を閉じた。

iw「ごめん、俺の見間違いだった。せっかく貰ったんだからちゃんと読みなね」

「そっか。それ深澤さんも同じこと言ってた笑」

iw「え？」

「あ、深澤さんって言うのはね、古本屋の店主さん」

iw「そっか……そうだ、さっき亮平がAどこ〜って探してたから行ってあげな」

「え、そうなの？…あ、一緒に勉強しようって話してたんだった…」

つい、深澤さんとの話が楽しくなってしまい、亮平との約束を忘れていたことに気づく。
亮平に怒られちゃう。

「ありがと、すぐ行く！」

慌てて靴を脱いで自室がある2階に向かう階段を駆け上がる。

そんな私の後ろ姿を兄が複雑な表情で見ていたなんて気づきもしなかった。

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