古本屋 ページ42
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貴方side
カランコロン
fk「いらっしゃいませー」
「こんにちは！お久しぶりです、深澤さん」
fk「お、Aちゃんじゃん！久しぶりー」
天井まである本棚の整理をしながら振り返ったのは、店主の深澤辰哉さん。
今の時代、電子書籍化が著しく進んだことで紙の書籍の需要が減り、街に本屋がほとんどなくなってしまった。
そんな中、この街で随一と言っていいほどの冊数を誇る古本を扱う店を切り盛りしているのが深澤さんだった。
あまり目立たないひっそりとした場所にあるこのお店は万人受けするものからマニアックなものまで品揃えが豊富で、コアなファンが多いんだとか。
ちなみに私もその一人だ。
fk「最近なんかあった？Aちゃんが来ないの珍しかったからさあ」
「あー…最近色々あって来る機会逃しちゃって…」
fk「なるほどね、お疲れ様」
そう言ってポンポンと私の頭を優しく叩いた。
fk「そうそう、Aちゃんが来たら渡そうと思ってたんだけど、前に就職先悩んでるって言ってたじゃん？俺おすすめの本あるのよ」
俺が読んだやつで申し訳ないんだけど、と渡された一冊の本。
「人生はちょっとしたことで変わる…？」
fk「そう、俺この本凄い好きでさ、内容覚えてるぐらい何度も読んでて。作者さんが言ってくれる言葉が本当にその時欲しかった言葉だったりするからグサッとくるのよ。ぜひAちゃんにも読んで欲しいからあげる」
「え、そんな大切な本いただけないです！」
fk「いいのいいの。俺がAちゃんにあげたいと思ったんだし、それにこの本もAちゃんが持っていた方がいいと思うから」
だから受け取って？とパチリとウインクされる。
確かに、かなり前ではあったが、深澤さんに悩み相談したことがあった。
その時に言ってたことを覚えていてくれて、わざわざ本をくれるなんてどれだけ優しいんだろうか。
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作者名：あさい。 | 作成日時：2023年2月22日 2時
