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nb「涼太、あの時の約束覚えてる？」
「え？約束？」
「犯人なのか？」そう聞こうとした時、翔太が俺の言葉を遮った。
約束ってなんのことだ…？
nb「…そっか。覚えてないなら別にいい」
そう言って急に訳のわからないこと聞いてごめんな、と笑った翔太が少し悲しそうな表情をして見えたのは気のせいだろうか。
nb「元気そうで良かった。それと、メモも涼太が気づいてくれて嬉しかった…じゃあな」
ポンっと肩に手を置かれ、耳元で「本に挟んであるしおり見て」と囁いて俺の横を通り過ぎる。
「翔太待って！！」
事件のこと以外にもまだ沢山聞きたいことが山ほどあった。
今までどうしてたのか、どこにいたのか、なぜ急にいなくなったのか、また今までのように会えるのか、その一瞬見せた悲しそうな表情は何を隠しているのか。
考えれば考えるだけ聞きたいことが溢れてくる。
引き止めるために取った手は初めて会った時から変わらず少しひんやりとした手。
あの日。翔太と最後に会った日と同じ笑顔だった。
振り返った彼は、そっと俺の手に触れると「元気でな」と告げてそのまま繁華街へと消えて行った。
追いかけられなかった。
追いかけてはいけないような気がした。
その場で返してもらった本を十数年ぶりに開く。
すると翔太の言う通り中にしおりが挟まっていた。
「ん？なにか裏に文字が……」
表面は何も書かれていなかったが、街灯の光で薄く透けた裏面に何やら文字が見えた。
「誰にも言うなよ」
ただそれだけ、それだけが書かれていた。
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作者名：あさい。 | 作成日時：2023年2月22日 2時
