la coexistence (ページ26)

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宮舘side

「それでは捜査会議を始めます。えー、今回起きた資産家夫婦殺害事件ですが…」

進行役の管理官が事件の内容を説明していく。
それに合わせ、資料をめくる音も聞こえる。

「今回の事件は、現在捜査中の3件の事件と殺害手口が同じため、同一犯によるものと考えられます。また、今回も被害者のそばに1枚のメモが残されており、前述の事件と同じく、謎の記号が羅列していました。こちらは現在犯人に関する情報が残っていないか鑑識の方で捜査中です。皆様のお手元にあります資料に写真を載せていますのでご確認ください」

ページをめくると前回の捜査会議でも見たような、意味の分からない記号が書かれたメモの写真があった。

(またこれか…)

今までに起きた3件の事件全てがこのメモの謎が解けず、捜査が難航している。

流石の本部長も苛立ちが隠せないようだった。

「目撃者の証言によると、あまりにも一瞬の出来事で気がついたら目の前に人が倒れていた、との事です」

話を聞きながら今回は目撃者がいたのか…なんて思いつつ目撃者の名前が書かれているページに目を通すと、そこにはあるはずのない、そして長年探し続けてきた名前が目に入った。

(渡辺翔太…………渡辺翔太！？)

見間違えたのかと思い、もう一度確認するが、何度見ても資料にははっきりと”渡辺翔太”と記載されていた。

(翔太、生きてたのか…)

翔太が行方不明になってから17年。

まさか今回の事件の目撃者になっているとは思いもしなかったが、この事件現場付近に行けば、翔太と再会出来るかもしれない、そう思った。

だが、まずは事件の解決が最優先だ。

はやる気持ちを抑えて会議に意識を集中した。

sk「舘さん！今回もよろしくお願いしまぁす！」

会議が終わり、各々が割り振られた持ち場へと動き出す。

俺も現場へ向かおうと立ち上がると、近くに座っていた佐久間が近づいてきた。

「相変わらず元気だね。とりあえず俺らは現場に向かおう」

sk「了解であります！車出してくるわ！」

なぜか俺に敬礼した佐久間は車を出すために会議室を出る。

俺は免許を持っていないため、こういう時はいつも相棒の佐久間にお願いしている。

(翔太…今どこで何してるんだ…？)

俺はもう一度資料に書かれた幼馴染の名前を見つめた。

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