・ ページ17
.
「いらっしゃいませ！お好きな席…って、あ」
mg「え？あ、この間の…」
扉を開けて入って来たのは、この間家まで送り届けた目黒さんだった。
軽く会釈をした彼は、空いていたカウンター席に座り、メニューを開く。
ru「知り合いの人ですか…？」
「あ、うん。近所に住んでて、ちょっとだけ顔見知り」
ru「へえー物凄いイケメンさんですね」
目黒さんに聞こえないように作業しつつもコソコソと話す私たち。
まるで悪いことをしているみたいだ。
mg「すみません、注文いいですか」
しばらくすると、目黒さんが控えめに手を挙げてこちらを見ていた。
「あっ、はい、お伺いします」
mg「えっと、このモンブランとコーヒーのセットをお願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
mg「あの」
「はい？」
注文が入ったことを知らせるためにキッチンに行こうとしたところを目黒さんに引き止められる。
それに気づいたラウールくんが代わりに知らせに行ってくれる。ありがとう。
mg「Aさんこの喫茶店で働いていたんですね、驚きました」
「そうなんです、私もびっくりしました！まさか目黒さんとお会い出来ると思ってなかったので…」
mg「偶然ってあるんですね」
それからコーヒーが出来るまでの間、世間話を交えながら目黒さんの新たな一面を知った。
目黒さんは美容師をしているらしく、いつも自分で髪を切っているんだとか。すごい。
ru「Aさん」
「あっ、ありがとう。…モンブランとコーヒーのセットです。お待たせしました」
mg「ありがとうございます。いただきます」
ケーキは全て元パティシエだった店長の奥さんが一つ一つ作っている。
スポンジはふわふわ、クリームはなめらかで、すごく舌触りが良いと街でも評判が良いらしい。
mg「っ！…美味しい…」
モンブランが好きだと言っていた目黒さん。
心なしか優しい表情をして見えた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あさい。 | 作成日時：2023年2月22日 2時
