la coexistence (ページ16)

今日:14 hit、昨日:3 hit、合計:32,712 hit

・ページ16

.

ru「じゃあAさんはここに座っていてください」

カウンター席の端っこは、店長が従業員用に小さな休憩スペースとして設けてくれている。

てきぱきと動くラウールくんの動きを眺めていると「そんなに見られると恥ずかしいです…」と、真剣な表情から打って変わって照れくさそうに笑った。

エスプレッソを淹れてカップにミルクを注ぎ、ピッチャーを左右に揺らす。

簡単そうに見えて実は力加減やバランスが難しいラテアート。
エスプレッソとミルクだけでいろんな模様を作ることが出来るから、ラテアートってやり始めるとすごく奥深いんだよな。

ru「どうぞ」

リーフの柄が崩れないように静かにカップが置かれる。

1口飲むと、口の中に上品な苦味とミルクの柔らかい味が広がる。

「美味しい…」

ru「良かったー！すごい練習したんですよ！リーフがよく崩れちゃって」

そんな風にラウールくんと話をしていると、カランと扉に着いたベルが鳴り、新たな来客を告げる。

「いらっしゃいませ！お好きな席…って、あ」

.