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伊野尾side





俺によく似た、あのコ。

でも、似ているとは思えど、俺にその瞳は純粋すぎた。

似ているようで、どこか違う。いや、全く違う。





よく見たら、あのコは…。


『ダメだよ。それは言ったらイケナイ禁忌の言葉』


甘いあまい声が、耳を塞いだ。

蜂蜜にメープルシロップ、そんな甘い声をドロリと流し込まれたみたい。

“あのコ”はニッコリと笑って、そいつと同じ真っ赤な目を、俺に向ける。

真っ赤な目。





綺麗なワインレッドの、同じ…

いや、同じ…なのか?





あのコの目の、深い赤色の色味が消えてゆく。

綺麗なワインレッドは、もとの焦げ茶色に。


そこで、ハッとした。


すっかりあのコの姿は見えなくなっていて、瞳の奥に映るのは難しそうに口を結ぶ俺。





目の前のそいつに焦点を合わせると、不思議そうな顔。

俺はその顔にふっと笑いが吹き出た。

「あんたさ、名前は?」

クククッと喉を鳴らし笑いながらそう聞くと、ビックリしたように、呆けた顔する。

意地悪く「ヴァンパイアだから名前ないとか?」そう言うと「いや…」と言葉を濁した。





「名前はあるけど…」

「教えてくんなきゃ、一緒にいられないんだけど?」

「……タカキ、ユウヤ」

「ふーん。俺は、イノオ ケイ」







今思えば、名前を知ったその時から、俺はこいつに囚われていた。

霧の深い森の中で契りを交わして、俺はヴァンパイアになって。

そうして、気がついたら、この屋敷で何百年もの時を重ねてた。





少し目を閉じただけで、変わる街並み。

でも、一つだけあの頃と変わらないことがあった。





それは、あのコ。

高木があのコのことを考えると、瞳には今も、あのコが映るのだ…。

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トルタ(プロフ) - cocoaさん» ありがとうございます。私の中の知念さんって儚さがあるイメージなんですよね…笑なのでそれを可愛いって言ってもらえて嬉しい限りです。低更新ですがこれからも楽しんで頂けると幸いです。 (2018年3月7日 17時) (レス) id: 2320849466 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa - 初めてコメントさせていただきます!トルタさんのかく、知念さんの儚い感じがとっても可愛いです…!!ゆっくりでいいので、更新頑張ってください。応援してます! (2018年3月6日 6時) (レス) id: 950c02c76a (このIDを非表示/違反報告)
トルタ(プロフ) - 山田つばささん» ありがとうございます。そう言ってもらえると頑張れます笑 低更新ですがこれからも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2017年7月23日 7時) (レス) id: f2950f8700 (このIDを非表示/違反報告)
トルタ(プロフ) - まじゅさん» ありがとうございます。BLの良さってありますよね…しみじみ思います笑 (2017年7月23日 7時) (レス) id: f2950f8700 (このIDを非表示/違反報告)
山田つばさ - 私には到底書けない繊細な表現がすっごく好きです笑笑 更新楽しみにしてます! (2017年7月20日 14時) (レス) id: ba7553ac36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トルタ | 作成日時:2017年5月15日 17時

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