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布団の中からでも分かる外の寒さに、人肌が恋しくなって。

「ねえ、りょうすけ…」そう声をかけたけれど、「…何も言うなよ」とその声は涼介にバッサリ切られた。





会話はしないよ。と涼介の目が僕を否定する。


愛も、夢も、何もない。

そんな冷たい目が僕を見て。


それが、ただ寂しさを埋めるだけの
行為を際立たせる。





その証拠に、さっきの熱い声はもうなくて。

冷たい涼介の声が、降りかかるんだ。





こういうとき、やっぱり。と思う。


やっぱり、僕だけが涼介を好きなんだろうなと。

涼介にとっちゃ、一番身近にいて、週刊誌に載ることないヤリやすい相手。


ただ、それだけなんだって。


そう分かるから、僕はこの時間が一番嫌い。





どうしようもなくなった気持ちが、
ザラザラと心を撫でてた。


それを誤魔化すように背を向けて布団に潜り込めば、僕の頭を撫でる温かい手。

涼介はそのまま僕の隣に寝転ぶと、背中にぴとりとくっついて寝始めた。





…ああ。


背中に感じる熱量が、大き過ぎる気がする。

寂しさだけを連れてくるこんな夜に、この熱は
熱すぎてズルい。



僕はこの熱に、寝れもしないというのに。





すう、と小さな寝息が聞こえてきて。

涼介が寝たことを知る。





やっぱり、ズルいよ。

涼介は。

僕の気持ちを知りながら、こうして都合のいい時だけ呼んでさ。

オンナノコみたいな扱いして、期待させる。

そのくせ、行為が終わったら自分は気が済んだように僕をほっぽって寝ちゃうんだから。





なんだかやるせない気持ちになって、
涼介を起こさないように、体を起こした。






薄暗い中で隣を見れば、
端正な顔が間接照明に照らされて影を作っていた。


長く伸びるまつげに、色素の薄い肌。

その上に、人を魅惑するような、真っ赤な唇。






さっきまで僕を快楽に包んでいたこれらは、神様が涼介に与えた一つの才能なのかな。


それだけに。

やっぱり、魅了され、蠱惑され。

されるがまま。





吸い込まれそうになるその顔に、
僕も何度やられたんだろう。


だいたい、この顔で優しくされたら、そりゃ誰だって落ちるに決まってる。


そんな彼に落ちたのは、多分、僕だけじゃなくて。





だから、取られないようにと
いつも涼介の隣にいた。


僕のものにならなくていい。

でも、誰のものにもならないようにと。



だから、僕と涼介は、いつも隣にいたし。

いつの間にか、それが普通になっていた。

.→←リンドウ−やまちね*



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トルタ(プロフ) - cocoaさん» ありがとうございます。私の中の知念さんって儚さがあるイメージなんですよね…笑なのでそれを可愛いって言ってもらえて嬉しい限りです。低更新ですがこれからも楽しんで頂けると幸いです。 (2018年3月7日 17時) (レス) id: 2320849466 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa - 初めてコメントさせていただきます!トルタさんのかく、知念さんの儚い感じがとっても可愛いです…!!ゆっくりでいいので、更新頑張ってください。応援してます! (2018年3月6日 6時) (レス) id: 950c02c76a (このIDを非表示/違反報告)
トルタ(プロフ) - 山田つばささん» ありがとうございます。そう言ってもらえると頑張れます笑 低更新ですがこれからも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2017年7月23日 7時) (レス) id: f2950f8700 (このIDを非表示/違反報告)
トルタ(プロフ) - まじゅさん» ありがとうございます。BLの良さってありますよね…しみじみ思います笑 (2017年7月23日 7時) (レス) id: f2950f8700 (このIDを非表示/違反報告)
山田つばさ - 私には到底書けない繊細な表現がすっごく好きです笑笑 更新楽しみにしてます! (2017年7月20日 14時) (レス) id: ba7553ac36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トルタ | 作成日時:2017年5月15日 17時

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