悪ふざけは程々に* ページ11
「知ってる？吸血鬼って女の人の血を好んで飲むんだって」
「ひゃっ、………んっ！」
それがどうしたの、と聞こうとした私の首元に至の顔が近づいた。首筋にかかる吐息がくすぐったくて、思わず変な声が出た。
「へぇ、首弱いんだ？」
「うるさ、っん………んん！」
付けたばかりの八重歯をもどかしそうに取りながら、腰に添えていた手を持ち上げて、私の後頭部を掴んだ。反対の手で八重歯を羽織っていたマントのポケットに入れて、後頭部を引き寄せて唇を重ねる。
「いた、る…………っは…」
「……なんか、そそるね。この格好だと尚更」
気分が高揚しているのか、触れるだけで止める気配はなく、角度を変えてキスの雨を降らせた。ようやく唇が離れたと思ったら、口元がにやりと歪んだ。
「A、………美味しそう。今ならほんとに血吸えたりして」
「は！？」
妙にギラギラした目が私を見下ろしていた。瞬間的にやばい、と感じたのは本能なのだろうか。
逃げようと引けていた私の腰はがっちりと至にホールドされていて、あの運動音痴の至でも力は私よりも上だったみたいだ。ビクともしない。ちくしょう。
やばい、マジで食われる………と思った次の瞬間。
ちゅ。
「…………へ？」
想像していたものよりもソフトな感触に、思わず目をぱちくりと瞬く。何が何だかわからないまま、至を見上げればさっきまでの顔はなんだったのか、いつもの王子様スマイルを浮かべていた。
「どうだった？俺の迫真の演技」
流石に噛み付いたりはしないよ、とくすくす笑われる始末。どうやら私はからかわれていたらしい。
「もしかして、ほんとに吸われるかも……とか期待してた？」
「いっぺんシベリアとかに送られとけ」
「はは、ごめんって」
拗ねないで、と至は頭を撫でたり、頬に優しく唇をくっつけたり、私のご機嫌取りを始めた。
…………もう少し拗ねておいてやろう。
本当は拗ねてなんかないけれど、そう思ってしまったのだった。
＊
ゆりりあ様からのリクエストでした。
ありがとうございました！
(血吸ってませんがこれが私の限界です………ごめんなさい！ 本物の吸血鬼はいつかリベンジしたいです。)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2291人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のん(プロフ) - めっちゃ好き！！これ見て至さんにハマりました…ヤバすぎですね。 (2019年1月25日 19時) (
レス) id: cc87f2ac73 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - 初めまして！ミコさんの書く至さん大好きです！リクエストで夢主ちゃんが女の子の日のお話とかお願いできますか？ 更新楽しみにしてます^ ^ (2018年3月22日 1時) (レス) id: b5e02d36cd (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - はじめまして！
最近一気に読ませて頂きました。
話の展開の仕方などすごく好みです…。
リクエストしてもいいですか…？
夢主ちゃんが至さんに甘えたい…。みたいな話が見たいです〜！
大雑把過ぎてすみません。笑
更新など忙しいかと思いますが、頑張って下さい！！ (2018年3月16日 19時) (携帯から) (レス) id: d5720fc110 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりあ - この小説で、至推しになったゆりりあといいます！キュンキュンしながら読ませていただいています！リクで吸血鬼の至とその彼女の夢主ちゃんとの甘々な吸血を書いていただきたいです！ (2018年3月15日 20時) (レス) id: b4acc91cdf (このIDを非表示/違反報告)
じゅんぴー(プロフ) - はじめまして！ ミコさんのお話、大好きです！ リクエストさせてください！ 主人公ちゃんと至さん、両方の嫉妬が見たいです！切甘な感じをお願いしたいのですがよろしいでしょうか…？ (2018年3月14日 23時) (レス) id: 67a96bf772 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
