羨望【2j3j】 (ページ41)

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葛葉side

その日の夜、俺は携帯と睨めっこをしていた

たった一言メッセージを送るだけなのに

あとは送信を押すだけなのに

どうしても押すことが出来ない

指先が信じられないほど冷え切ってる

情けないな、なんて思いながら一回チルしようと思い立ち上がり部屋を出る

・

・

・

「んま」

お目当てのアイスを口に咥えながら部屋に戻ると先ほどはいなかったワンさんの姿が

いつの間にと思いつつ、今度こそ送ろうと携帯を取ろうと机の上を見てもどこにも見当たらない

「あれ、どこいった？」

周りを見ても見つからずに首を傾げていると足元でワンさんが一声鳴いた

「ん？」

下を見るとワンさんの足元に携帯が落ちていた

なんかの拍子で落ちたのかと考えながら、拾い上げる

ほんとうちの子賢くて可愛いわぁなんて思ったのもつかぬ間

光る画面を見て思わず咽てしまった

「んッ…？！え、？！なんで？！」

無情にも表示されるのは既に送られている俺からのメッセージ

まさか…？！とバッとワンさんを見るとどこか誇らしげな表情でもう一声、ワン！と先ほどよりも元気よく鳴いた

今だけは可愛らしい肉球と賢すぎるワンさんを恨んだ

「なにしてんだよ～～！！」

やべぇ、落ち着け、一回送信取り消そう、と操作をしようと画面を見ると既読の文字が

「お、わった…」

なんて返事が来るのか怖くて急いで電源を切る

文章変じゃなかったよな？

きもいとか思われたらどうしよう

うわ、そんなこと思われてたら俺もう立ち直れない

ぐるぐる頭の中をネガティブな考えが巡る

暫く経っても通知の音がしないので

「もしかして…既読無視…」

挙動不審の俺をみて近づいてきたワンさんを抱えて丸くなる

おわった。終わったんだ俺…

若干泣きそうになっていると部屋に鳴り響く軽快な通知音

その音にバッ顔を上げ、恐る恐る画面を見ると

明日、話せる?
主人公うん

肯定の二文字に心がスッと軽くなる

ワンさんが俺の顔を舐める

「良くやった。褒美におやつをあげよう」

わしゃわしゃと撫でまわし、先ほどのネガティブな気持ちはどこに行ったのか

ルンルンでおやつを取りに部屋を出る

今度はワンさんと一緒に