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そこからの記憶は曖昧である



気付いたらあの子達の姿はなくなっていた



もうここにいる意味などないのに足が動かない



嫌われ者には夢を見る事すら許されないの?



相応しくないなんて分かりきったことをあんなに可愛らしい笑顔で言わなくたっていいのに



脳裏にいつかの女性に言われた言葉がよぎる





_良い夢ほど長くは続かないものよ_






分かっていたことなのに、どんどん気持ちが暗くなる



これから大好きなお母さんとの約束があるのに



窓ガラスに映る酷い顔をしている自分



こんなんじゃお母さんの隣に立つことすら不釣り合いだわと嘲笑する



お母さんには申し訳ないけれど体調が悪くなったって連絡を入れてもう帰ろう



携帯を取り出そうと鞄を漁っていると



「あれ、主人公ちゃん?こんなところで会うなんて奇遇だね〜」



「か、なえ、くん」



「どうしたの…?!すごい顔色悪いよ、!」



タイミング悪すぎるよ叶くん…



今は誰にも会いたくなかったのに





_____






叶side


今日は天気が良いからお散歩がてらお昼でも食べにいこうかなと思い葛葉に連絡を入れる



お昼食べ行こ
くずはだるい
いつものとこ
くずは


すぐに既読になったのに笑みをこぼしながら準備をする



だるいとか言いつつ毎回ちゃんと来てくれるんだよなぁ

本当に良いやつだよ



きっとすぐには来ないだろうし先に行って注文しとこうかなと考えながら家を出る















店に着き店員さんに後から一人来ることを伝えつつ、席に向かう



すると視界に入る最近よく見る綺麗な黒髪の女性



見間違えるはずもない、その後ろ姿



彼女はどこか魅かれる雰囲気を纏っている



最初は一人で来たのかと思ったが、彼女の対面にはもう一つグラスが置いてあることから誰かといたのだろう



しかし、荷物もなければ姿も見えないので帰ったのかな?なんて思いながら挨拶をしようと声をかける



「あれ、主人公ちゃん?こんなところで会うなんて奇遇だね〜」



何かを探していたのか鞄を漁る手を止め、肩を揺らす


少し間を置いた後、酷く震えた声で僕の名を呼ぶ



「か、なえ、くん」



恐る恐る此方を見上げたと思えば



「どうしたの…?!すごい顔色悪いよ、!」



目に映ったのはいつもより青白くなった顔に、どこか怯えた様な目を向けてくる彼女の姿

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作者名:右京 | 作成日時:2024年3月20日 22時

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