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目の前の人物___葛葉さんが固まってしまい、またもや気まずい変な空気が私たちの間に流れる



するとタイミングを見計らったように店主であろう男性が話しかけてきた



「ご注文は何になさいますか?」



その声にはっとしたように動き出した彼はいつものやつを、と呟いた



「かしこまりました。そちらのお嬢さんはいかがいたしますか?」



メニューも何も見ていない私はどうしたら良いかと慌てていると



「甘いものとかって、平気っスか」



それを見かねた彼が尋ねてきたので咄嗟に頷いてしまった



その様子を見た男性は微笑みを浮かべて頷き、立ち去って行った



「ありがとうございます」



助け舟を出してくれたことに対してお礼を言うと慌てた様子で返事をする



「いや、俺も勝手に連れてきちゃったし…その、すみません…」



男性にしては細いその背をさらに小さく丸め、気まずそうに話すその様子がどこか可愛らしく、つい笑みが零れてしまう



それにはっとして彼を見るとまたもや目を見開いて固まっていた



「ご、ごめんなさい!悪意とかそういうのがあったわけじゃなくて、あの、」



謝罪の言葉に対して笑うなんて失礼な態度に気を悪くしてしまったのではと焦った私は、急いで弁解をする



今度はそんな私を見た彼が小さく笑いを零す



「(こんな風に笑うんだ、綺麗だなぁ)」



彼の笑う姿に見惚れながらも、先ほどよりも空気が緩んで来たことにまた笑みが浮かび、何も特別可笑しなことがあるわけでもないのにその場には小さな笑いが出来ていた

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作者名:右京 | 作成日時:2024年3月20日 22時

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