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葛葉side


一言呟いたきり黙ってしまった目の前の彼女



やべぇ、絶対きもい奴って思われたやつじゃん



距離を縮めるどころかはしご外しちゃったよな



なんて考えながらもう一度声をかける



「あ、の?」



最悪、なんでまた詰まるんだよ



俺の荒野の胸中など知るはずもない彼女は、はっとしたように謝罪を口にしこの場を去ろうとした



その姿に俺の頭にいろんな考えがよぎる



もう今みたいな機会が訪れることはないのではないか



今ここで別れてしまったら二度と彼女の眼中に入ることはできないのではないか



男は度胸



どこのどいつが言った言葉かは知らんが今がその時だろ



なけなしの勇気を振り絞って



がんばれ俺



そう自分を奮い立たせ彼女の白く細い腕をつかんだ







_雨はまだ降り始めたばかり_

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作者名:右京 | 作成日時:2024年3月20日 22時

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