. ページ8
.
『湊くん、なんで最近アフター行ってくれないの？本命出来たの？』
Aちゃんが家に住み始めてから、約3ヶ月経った頃、目の前の姫がそう聞いてきた。彼女はよくシャンパンなどを卸してくれる太客の中でも1番お金をたくさん使ってくれるエースである。
『んはは、出来てへんよ。…どしたん？姫、心配？』
『だって、湊くん最近誘っても大体断ってくるじゃん。…だから、』
勿論本命は出来ていない。アフターが減ったのは、Aちゃんをあまり家で1人にさせたくなかったからだ。まぁそんなことは言えないので、拾った猫飼い始めたからなるべく家に居たくてと言って、姫を宥める。半分嘘で半分本当。Aちゃんは拾ってきたし、猫みたいやし。でも目の前の彼女はまだ不安そうな顔をする。
『そんな顔せんといて、…わかった、今日行こうや。どこか行きたいとこある？』
.
姫を送って、家に着き玄関のドアを開けるとAちゃんが抱きついてきた。彼女の髪を優しく撫でながら、珍しいなと考える。どうやらずっとここにいたようで体も少し冷えているし、とりあえず玄関から移動した。姫の香水の匂いが着いた服と体を洗って、少し作業をした後で寝る時間になる。いつもは帰ってきてから寝るまでに自由な時間が5時間近くあるが、今日はアフターがあった為に1時間くらいしかなかった。だから、今日は家を10時間近く空けていたことになる。いつからAちゃんは玄関に居たのだろう。
今日だけだから、そう言った彼女もあの玄関でのあの言葉以降はいつも通りで、特に変わった様子はなかった。寝る前に、おやすみなさいと挨拶をして彼女は自分の部屋に向かった。見届けた後、俺も自分の部屋に行き、姫達にLINEを返したり、仕事の準備をする。起きた後、Aちゃんを連れてどこか行くか、そう思いながら目を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼井(プロフ) - 狛希さん» 狛希さんコメントありがとうございます。読んでいただいて、その上嬉しいコメントを下さって本当に嬉しいです。ありがとうございます！！ (2月6日 17時) (
レス) id: 5ecf86ccc0 (このIDを非表示/違反報告)
狛希 - 初コメ失礼します。更新されたところまで読ませていただきました！夢主さんとの心の距離がどんどん離れていくような描写がすごく心に残りました。この作品が好きです！ (2月6日 16時) (レス) @page23 id: 81e78c7a48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼井 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時：2024年1月15日 18時
