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締め日はホスト同士の戦いだけではなく、“エース同士の戦い”でもあるらしい。けれど、聞いたところ不破さんのエースの美香さんは今日は用事があって来れないらしく、来ているのは何人かの指名客だった。
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「シャンパン入りまーす!」
「ボトル入りまーす!!」
店のあちこちでそんな声が聞こえる中私は席に座って不破さんを待っていた。
「不破さん、もしNO.1になったらホスト辞めてくれませんか」
ようやく不破さんが私の隣に着いて、口を開いて出てきたのはその言葉だった。不破さんは私の真剣な目つきに何を感じたのか、察したのかはわからないが了承してくれた。
「お客様、アレの用意は出来てますがどうなさいますか?」
「あ、じゃあお願いします」
内勤の方がこっそり私にそう伝えてきたので、お願いしますと返す。アレの準備とは、先程予約していたと言っていたものである。調べてみると予約をしていた方がベターだと書いてあったので予約をした。勿論このことは不破さんも知らないので、内勤の方は不破さんに聞こえないように聞いてきた。チラ、と不破さんの方を見ると全然分かっていないような顔をしていた。
「……………シャンパンタワー?」
運ばれてくるシャンパンタワーに目を見開いて不破さんはそう口にする。予算をお店と相談して100万と決めているので中々に高額なものであり、グラスの数も多いので店にいる皆がそちらに目を向ける。
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シャンパンタワーの前に私と不破さんが並んで、シャンパンタワーにシャンパンを注ぐ。周りをたくさんのホストが囲み、周りがコールして盛り上げ始めた。これが、世に聞くシャンパンコールなのか、とその場にいるのにまるで別世界に居るような感覚を覚える。シャンパンが注ぎ終わると、タワーからみんなにグラスが配られ、そのまま乾杯する。勿論私は未成年なので貰ってはいない。代わりにジュースを用意してくれていた。
「本気、なんやな」
「当たり前です。そのためにずっと頑張って来たんですから」
「あそこで働いてたんもそれなん?」
私は頷くと、不破さんは口を開いた。
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蒼井(プロフ) - 狛希さん» 狛希さんコメントありがとうございます。読んでいただいて、その上嬉しいコメントを下さって本当に嬉しいです。ありがとうございます!! (2月6日 17時) (レス) id: 5ecf86ccc0 (このIDを非表示/違反報告)
狛希 - 初コメ失礼します。更新されたところまで読ませていただきました!夢主さんとの心の距離がどんどん離れていくような描写がすごく心に残りました。この作品が好きです! (2月6日 16時) (レス) @page23 id: 81e78c7a48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼井 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時:2024年1月15日 18時