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『不破さんは、いつホスト辞めたいとかあるんですか?』
『んー、あんま考えたことなかったなぁ。…………まぁ、多分NO.1取れたらかなぁ。』
『NO.1ホストって、どういう基準なんですか?売り上げで1番になるとなれるんですか?』
『まぁ、そうやなぁ。NO.1ホストにも沢山あるんよ。例えば____』
不破さんは、有名なホストクラブで働いている。そのため、ナンバー入りはしているもののNO.1になったことはないらしい。だから、もしNO.1になれたならホストを辞めるかもしれないと言っていた。もうホストになってから長いし、と付け加えて。
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私はずっと、妹のような接し方じゃなくなって、ホストと姫として接すれば私のことを1人の女性として見てくれると思っていた。けれど、ホストの時の不破さんを見て感じた。私が好きになったのは、この不破さんじゃない、と。この貼り付けた笑顔、愛想笑いなんかじゃなくて、笑ったり、はしゃいだり、怒ったりしている、等身大の不破さんが、私は好きなのだ。
だから、私は不破さんを私の手でNO.1にしてホストを辞めてもらう。そこで、私の気持ちを伝える。不破さんに、等身大の私を好きになってもらう。だから、その時まで。
「不破さん、さようなら。」
「Aちゃん、気をつけて帰りなね」
しばらく不破さんとは会えません。店も行けません。なんて、そんな事は言っていないけど、不破さんは私の様子に違和感を覚えたのか、店を出ていく私の手を掴んだ。
「……………Aちゃん、」
「………不破さん、絶対にNO.1にしてみせます。だから、その時まで待っててください。」
「、」
「じゃあ、私行きますね。」
スルッと不破さんの手を解き、私は歩き出した。絶対に振り返らない。振り返ってしまえば、今すぐにでも不破さんの胸に飛び込んでいってしまいそうだから。
これから約半年くらい、今まで通りの昼職と、この前面接に合格したキャバクラ店で働いてお金を貯める。体力的には厳しいけど、きっと大丈夫、私ならやっていける。
不破さんと約束したから、NO.1にするって。
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蒼井(プロフ) - 狛希さん» 狛希さんコメントありがとうございます。読んでいただいて、その上嬉しいコメントを下さって本当に嬉しいです。ありがとうございます!! (2月6日 17時) (レス) id: 5ecf86ccc0 (このIDを非表示/違反報告)
狛希 - 初コメ失礼します。更新されたところまで読ませていただきました!夢主さんとの心の距離がどんどん離れていくような描写がすごく心に残りました。この作品が好きです! (2月6日 16時) (レス) @page23 id: 81e78c7a48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼井 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時:2024年1月15日 18時