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「うん、来週からこの職場辞めるんだ。辞職も2週間前にもうだしてるの」
「………なんで?」
「私の担当さんも凄い人気でね、でもあの人は私のこと好きだって言ってくれたの。Aちゃんのこと好きだから言うね。………あ、でもこれここだけの話ね。
………実は私と彼、付き合ってるの。だから、彼をNO.1にする為に私はもっとお金がないといけないの」
奈緒ちゃんは、そう言ってスマホの画面を私に見せた。書かれていたのは、どこかの店の名前。恐らくここで働くんだろう。あれ、この店……。
「これ、……風俗店じゃ、」
「彼が言ってたの、ここで働けば沢山お金が貰えるって。面接の時にも聞いたんだけど、凄い貰えるんだよ!!Aちゃんも一緒にどう?不破さん、だっけ?Aちゃんも不破さんの為に一緒に働こうよ!」
私はその言葉を聞いて思わず息を飲んだ。本当に彼氏なら、奈緒ちゃんの事が好きなら、そんな店を勧めるはずが無い。奈緒ちゃんはあのホストさんにきっと騙されてるんだ。そう思って、奈緒ちゃんの事を止めるが奈緒ちゃんはまるで人が変わったように叫んで私の言葉を否定する。違うの、私は、奈緒ちゃんを助けたくて。
そんな虚しい声も私一人しかいないこの空間に落ちていった。
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ホストの売り掛けの返済が出来ず、風俗やキャバクラ、ソープなどの夜の接待をしている人も少なくは無い。けれど、実際に目にしたわけでなかったし自分とは関係ない世界だと思っていた。奈緒ちゃんは、別にツケが溜まっているとかではなかったはずだ。ただ、彼氏の為にお金を稼ぎたいだけ。私も、この前からずっと考えていた。今の仕事だけではお金が足りない。でも、身体は売りたくない。でも、夜に働けて給料が良くて、身体を売らない、そんな仕事なんて………………ここは腹を括るしかないのか。
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蒼井(プロフ) - 狛希さん» 狛希さんコメントありがとうございます。読んでいただいて、その上嬉しいコメントを下さって本当に嬉しいです。ありがとうございます!! (2月6日 17時) (レス) id: 5ecf86ccc0 (このIDを非表示/違反報告)
狛希 - 初コメ失礼します。更新されたところまで読ませていただきました!夢主さんとの心の距離がどんどん離れていくような描写がすごく心に残りました。この作品が好きです! (2月6日 16時) (レス) @page23 id: 81e78c7a48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼井 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時:2024年1月15日 18時