知らん顔して夜の群れ ページ18
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ホストとして彼は私を扱う。あの頃の不破さんとは全然違う。所謂色恋営業みたいな、彼が向けてくる視線が全然違くて。前みたいな妹に対しての態度が嫌だったから、きっとこれでいいのかな。なんて、そんなことを考える。
「ねぇ、細客の癖になんで湊くんとアフター行ってるの？」
ホストクラブの帰り道。いかにも金持ちという感じの年上のお姉さんに睨まれていた。でも、アフターとして行ったのは1度だけだし、残りは私が最後の客で時間が遅い時に家に送り届けてもらっただけである。まぁアフター、と言っても食事をして家に送ってもらっただけだ。もしかして、それを見られていたのだろうか。
細客というのはお店には来るものの、あまりお金を使わない客である。どのぐらいかどうか決まっているわけではないものの、新宿の歌舞伎町にある有名店の場合、10万円(月)未満のお客さんに対して細客と呼ぶらしい。たしかに、私はその額に収まっている。というか、大卒でもない私が働いて手に入るお金など、たかが知れている。
「私の方が湊くんのこと好きだし、湊くんの為に頑張ってお金貯めてるし、1番お金も使ってるし、湊くんと1回だけど1晩愛し…」
「美香ちゃん？どしたん？」
「湊くん！！」
「あれ、Aちゃんまだ帰ってなかったんや」
「不破さん…」
美香さんの声が原因で不破さんが様子を見に来たようだった。店のすぐ前だし、誰かが呼んだのだろう。私は先程の美香さんの話を聞いてから、ずっと口から何も音が出なかった。不破さんは、構って欲しいとばかりに不破さんに抱きつく美香さんを宥めていたし。その場は不破さんのお陰で丸く収まったが、私は胸が痛くて、苦しくて辛くて仕方がなかった。
「ごめんなぁ、Aちゃん。暫くは一緒に帰れんわ。」
「………わかりました。」
こうなることは予測できていたはずだ。ここに来る前まで私は本来高いお金を払ってでしか会えない不破さんと無償でずっと居たのだ。欲を出しちゃいけない。もっと、もっとお金を…不破さんに。もっと、もっと仕事しないと…。もっと、もっと……。
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蒼井(プロフ) - 狛希さん» 狛希さんコメントありがとうございます。読んでいただいて、その上嬉しいコメントを下さって本当に嬉しいです。ありがとうございます！！ (2月6日 17時) (
レス) id: 5ecf86ccc0 (このIDを非表示/違反報告)
狛希 - 初コメ失礼します。更新されたところまで読ませていただきました！夢主さんとの心の距離がどんどん離れていくような描写がすごく心に残りました。この作品が好きです！ (2月6日 16時) (レス) @page23 id: 81e78c7a48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼井 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時：2024年1月15日 18時
