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「葛葉と何があったの？」
何かあったの？ではなく、何があったの？と聞くあたり狡いと思う。私からぽつりぽつりと出た言葉はいつの間にか滝のように流れ出す。叶さんは私の話が終わって、一言“そっか、まぁそれは葛葉が悪いかもね。”と言い、机に伏せていたスマホを手に取った。画面に映るのは通話中の文字。
「ね？葛葉。」
叶さんの視線が、私の、いや、私の上に向けられた。私は振り返ろうとして体を動かそうとしたが、それより前に私の首に彼の手が回った。久しぶりに感じる葛葉の体温に私は安心して思わず涙が溢れた。それから叶さんと別れて３日振りに我が家に帰った。机にはコンビニやネットで買ったであろう食べ物の残骸がそのまま放置されていて、ため息をつきながらソファに座る。
「悪かった、気付けなくて」
私の隣に座った葛葉はそう言った。それから黙って私は彼の話を聞いていた。聞いていて私は思った。彼は吸血鬼で、私はただの人間で、生き方も考え方も全然違ったのだ。彼は、”一緒に居られるだけで、幸せだったから“、と途切れ途切れに顔を赤くして言うもんだからこっちまで赤くなってしまい、顔を俯ける。すると、ちょんっとソファに置いていた私の手に葛葉の手が当たる。そこからおずおずと手を伸ばされ、指が絡め取られる。
「でもまぁ、…お前を不安にさせないためにも、俺も努力…する、から、」
顔を背けてそう言った彼の耳は赤くなっていて、私は思わずくすりと笑う。
「何笑ってんだよ！」
「べっつにぃ〜。……………へ、」
「ハハ、顔真っ赤」
私の顔に影が出来て、ほんの一瞬私に唇に触れたソレに私は思わず体温が上がる。暫くお互い無言になっていたが、またどちらかとかはなく、いつものように話し始めた。きっと種族の違う彼とはこれからも何度も喧嘩をするかもしれない。けど、きっともう大丈夫だ。
「とりあえずゴミ片付けて、…………何、そのくらい自分でしてよね。」
私の彼氏は人じゃなくて、生活力が欠けてて、ノンデリでいい加減だけど、大好きで、とても大切で、愛おしい人だ。(いや、人じゃなかったか)
君が願ったことだから。（knmc）→←ちゃんと好きだから（kzh）
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作者名：蒼井 | 作成日時：2024年1月12日 9時
