73話【ピエロ事件】 ページ27
.
「よし、じゃあ文化祭での生徒会の出し物を決めていこうかな。流石に去年のはダメね」
「去年何したんですか?」
放課後、会議室。私達はテーブルを囲いながら、叶さんの言葉に耳を傾ける。去年のあの事件を知らない甲斐田くんは去年何があったのかを聞く。
「知らない?ピエロ事件って。この学校では結構有名なんだよ」
「ピエロ……事件ですか…?」
「そう、もしかしたら体育祭の時に見たかもしれないけど、この学校の卒業生でジョー・力一さんっていうピエロの格好をしてる人がいるんだけど」
「あ、見ました。たしか借り人競走の時に駆り出されてましたよね!」
「そうそう。あの人結構この学校では有名で、去年も文化祭来るって言ってたから、生徒会の出し物に出てもらったんだよ」
叶さんは新入生である甲斐田くんとサラちゃんに去年の事を話し始める。叶さんが先程言ったが、力一さんに私達生徒会は頼み込んで生徒会の出し物に参加してもらったのだ。その出し物は名付けて《ピエロを探せ!》というもので、力一さんにはいつものように文化祭に参加してもらって、力一さんを見つけて引き換え券を貰ったら私たち生徒会のところに来てちょっとした景品を貰える、というものだったのだが…。
「ちょっとした問題が発生してね」
「ちょっとした問題……?」
「校内のあらゆるところにピエロが発生して」
「…………え?」
「あれはまじやばかった」
「流石に俺も耳を疑ったわ」
叶さんの言葉に頭に?マークを浮かべた甲斐田くんに明那と不破先輩が口を挟む。
「あの通称ピエロ事件はこの学校の七不思議として語られているんですよ。力一さんに聞いても"俺は普通に歩いてたし、他の俺も見てない"って言ってて」
「"ほかの俺も見てない"って言うパワーワードよ」
私が付け足すと葛葉かツッコミを入れる。そのピエロはそれぞれ恐らく違う色の引き換え券を持っていたらしく、本来の力一さんに手渡した引き換え券ではないと気づいて私達が来てくれた生徒達に話を聞いた所、生徒たちの発言からおかしな状況に気づいたのだ。(ピエロいすぎじゃね?)(なんか2枚目もらったんだけど)(ピエロ何人いんの?)etc……
142人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼井 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時:2023年9月1日 19時