48話【ウミガメのスープ】 ページ2
ある日の放課後 、 生徒会室 、 叶さんと2人きり 。
「ねぇ、ウミガメのスープって知ってる？」
唐突に聞かれた。
「正式名称は『水平思考ゲーム』って言うらしいよ。出題者の出した問題に対して、回答者が"はい"か"いいえ"で答えられる質問をする。出題者はそれに対して、嘘偽りなく答える。その結果から考えて、その問題に答えるっていうゲーム」
「あぁ、いや知ってますけど、なんで急に？」
「暇だから」
まぁそうでしょうね。私は開いていたノートを閉じて叶さんの方を見る。
「知ってるけど解いたことはないですね」
「へぇ、じゃあ今回が初めてか。じゃあ、問題を出すね」
「女の子が6人いる。
そして机の上には、カゴに入った6個のリンゴ。
女の子達は1人1つずつ、リンゴを持っていった。
しかし、籠の中にはリンゴが1つ残っている。
一体何故？」
文は簡単であるが、質問無しには到底わかりそうも無い。文法的な引っ掛けもありそうにない。
「リンゴは切ったりして途中で形が変わった？」
「いいえ。最初から最後までずっと同じ形だよ」
違うか…。眉間に皺を寄せる。
「皆本当にリンゴを持っていった？」
「はい。皆1つずつ、リンゴを持ってるね」
叶さんは頬杖をつきながら答える。もう一度問題文を考え直す。
「女の子達は1人1つずつ、リンゴを持っていった…………順番に？順番に持っていったの？」
「はい。順番に持っていったよ」
順番にという事は、単純に考えて最後の1人が怪しい。カゴの中にリンゴが残っているという事は、リンゴを手に取っていない…。なるほど、わかったかもしれない。
「その顔は、わかったのかな？」
私は叶さんの方を見て、自分の中で導き出した答えを言った。
「"最後の子がカゴごと持って行った" 」
カゴのまま持って行けば、カゴの中にはリンゴが残ったままになる。文中には"リンゴだけ取った"なんて書いてないから。私の答えに叶さんはニコリと笑う。
「せーかい」
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作者名：蒼井 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時：2023年9月1日 19時
