【1】この広い空の下で私は恋に落ちた【knmc】

47話 ページ50

「じゃあ、試験1週間前からでいいですか？それまでに1周終わらせたいから」
「うん、わかった」






約束してしまった。まぁ友達で勉強するなんてよくある事だし、そういって自分を納得させた。








放課後、気分転換に街中を歩くことにした。特に何も用事は無かったが、頭を空っぽにして私は街を歩いた。暫く歩いていると、スマホと道を交互に見ている人がいた。道がわからないのだろうか。









「すみません」
「あ、はい」
「道に迷ってしまったのですか？」
「ああ、はい！そうなんですよ。ここに行かないと行けないんですけど」







そういって彼が見せてきたのはこの近くにあるビル。








「ここなら私わかるので、送っていきますよ」
「ええ！？いいんですか！？ありがとうございます」









彼をビルまで連れていくとお礼を言われ、名刺を渡された。






「私(わたくし)加賀美インダストリアルの代表取締役の加賀美ハヤトと申します。」







そういって加賀美さんは頭を下げる。私も反射的に返す。






「今日は本当にありがとうございました。もし、私(わたくし)に何か出来ることがありましたら、いつでも言ってください」
















家までの帰り道。私は人助けをして気分が良く、今日のモヤモヤはいつの間にか消えていた。よくよく考えれば私が剣持くんを好きでいても何も問題ではないのだ。好きでいてはいけない、なんて誰も言ってない。そもそもがっくんに負い目を感じるというのはがっくんに失礼なのだ。がっくんは私の恋を応援してくれているから。そう考えると楽になってきた。それに剣持くんが私のこと好きなはずないから私が考えるだけ無駄なのである。うん、きっとそうである。

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