【1】この広い空の下で私は恋に落ちた【knmc】

19話 ページ21

「遠足なんて小学生ぶりだな」



後ろの剣持さんから聞こえたのは多分独り言。朝のHRにて担任から告げられだのは金曜日、遠足だということ。だからその日は授業は無く、持ってくるのは弁当だけでいいそうだ。




「三枝、お前まじナイス」「やっぱアッキーナだわ！」




真ん中の列の前側で盛りあがっているのは、明那とその周りのクラスメイト。つまり私と明那がいたクラスの人達が多くあの事を知っている人が多かったからだろう。




あの事というのは去年の冬に遡る話だ。ある日突然、本当に突然授業中明那は突然立ち上がりこう言った。







「俺遠足行きたいわ！」







突然の事に私も他のクラスメイトも最初こそ困惑した
が、「俺も遠足行きたい！」「いいね！遠足」と盛り上がって行き、明那も




「俺、会長に言ってくる！」




と教室を飛び出そうとした。まぁ当たり前だが、授業中な訳で。







「三枝さん、今授業中ですから〜！」





脳内にあの時のレオス先生のなさけない声が響く。明那は行動力がすごいからその授業の後会長のもとへ行き、会長と共に提案書をつくって学校長に出しに行った。採用されたことは知っていたがこんなに早く叶うとは。明那の嬉しそうな顔を見ていると私まで嬉しくなってくすりと笑ってしまった。





「という訳で当日は部屋で行動してもらう。さあ、HRは終わりだ。1時間目の準備をしろよ」





そう言って先生は教室を後にする。





「班長ー、金曜はよろしくなー！」
「岡田は迷子になるなよ」





この時は楽しみだなあ、と後ろの会語を耳で流していて、まさかあんな事が起こるなんて思いもしなかった。

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