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『 配信は終了しました。
ご視聴ありがとうございました 』
と表示される画面の前で溢れ続ける涙
16:00公演が始まって2時間経った今
薄暗い部屋の中
iPhoneの液晶が光り、バイブが鳴った
その画面には “ 元太 ” と表示されている。
「……もし、もし」
「……っおれっ!デビューするよ…!!!
夢を叶えたよっ…!!隣で支えてくれたAがいたからここまで来れたよ……っ…」
公演終了直後に電話をくれた
デビューしたよ、と言う元太の声は泣いていて
震えていた。
「…うんっ!み、みてたよ!ほんとに、おめ、
おめでとう……っ…うっ…」
泣きながら話す私の声に
元太は泣きながら笑っていた
「……ありがとうほんとに。
ここが、ゴールじゃ、ないから…っ…
これからもずっと隣で支えてね……」
これからもずっと隣で応援させてね、って
言いたかったな………ごめんね元太
「元太、ほんとに…おめでとう……
ずっと隣で努力してるの見させてくれてありがとう
元太の夢が叶うことは私の夢が叶うこと。
…一緒に夢を見させてくれて、ありがとう。
これから新しい景色をたくさん見るんだよ元太は。
TravisJapanのメンバーと。
でもその景色は私は一緒に見れない。ごめんね。」
「…は?何言ってんの…?
これからも隣で応援してくれる、、でしょ?」
「…ごめんね。私、3年半、世界一幸せだったよ、
…予定が合わなくて、私が不安になって泣いちゃったりして、それでも元太は隣で安心させてくれて、
こんな幸せでいいのかってずっと思ってた。
ここで区切りをつけよっか、元太…」
「…っ…なんでだよっ……」
「元太にはファンの子が沢山いて、みんな元太を応援してる、元太を信じてる。それを裏切っちゃいけない。私だけこんな幸せで居ちゃダメだった。
でもずっと幸せだったのは間違いないから…。
今までありがと…う、、
……ばいばい、げんた…っ、、」
「…ちょっと待ってよ、!」
耳から離して、手に持つiPhoneから元太の声が聞こえていた
涙を流しながら通話終了ボタンを押した
ツーツーツー……
iPhoneから鳴る無機質な音だけが部屋に響いていた
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作者名:みぇ〜ん | 作成日時:2020年11月3日 12時