彼氏に片想い....REN.n (ページ4)

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前を歩く廉からふわっと流れてくる甘い香水の匂いに鼓動が速くなる

.

廉「……お前家どっち？」

『こっちです』

廉「チッ、逆かよ……」

『……あっ！でもこっちの大きな本屋さんに行こうと思ってたのでこっちから帰ります！』

廉「あっそう？じゃ行こう」

長い足の1歩と短い足の1歩は
こんなにも差があるのか……っと実感させられるほど先輩は歩くのが……速い

置いてかれないように慌てつつ
しっかり間近で見る後ろ姿を目に焼き付ける

.

廉「はいっ！」

『ありがとうございます』

本屋さんの近くのテイクアウトのコーヒーショップ

汗だくで走るようについてきていたAに信号で止まった時に気づいた廉は「速かった！？はよゆえや！」って怒ったけどその後はゆっくり歩いてくれて

今こうしてコーヒーが飲めない私にミルクティーを
奢ってくれている

ねぇ？カイ、先輩優しいよ？
だから大丈夫だよ

『先輩のコーヒーですか？』

「そうやで」

『苦くないですか？』

「ん？飲んでみる？」

『えっ？』

差し出された飲みかけのコーヒー
少し迷ったけどそっと近づき
チューっとストローに吸い付く

『にがっ！』

「ふははっ、ブラックやからな」

初めて向けられる優しい笑顔

口の中に広がる苦い嫌な味が
どんどん甘くなるような……
そんな魔法の様な笑顔

つられて笑うと

「お前ってずっとヘラヘラしてんな」

『そんなことないですよ？』

「そうか？なんかアホっぽい」

『ひどい！』

「ほら、まだ顔が笑ってる」

いつまでも緩みっぱなしのAの頬
その頬に廉の手がゆっくり伸びてきて
ほっぺを摘まれむにむにされる

「うわっ、柔らか！何これ？」

片方だった手を両手にし、両頬をむにむに触る