Street Blues（Ren.N） (ページ8)

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Street Blues（Ren.N）ページ8

落ち着かない目線を窓に向けると
また降り出してた雨で
窓の外の景色が滲む

廉がグラスに残ったお酒を飲み干すと

廉「……すみません、チェックお願いします」

向けられる背中に寂しさを感じる

スっと店員が伝票を廉の前に出す

『……あっ、私だすよ』

廉「……ええよ、奢るってゆったやん」

綺麗な顔で笑う

サッと財布からカードを出すと
伝票をたたみカードと一緒に店員に差し出す

『……ありがとう』

廉「…いいえ、さっ、出よっか？」

戻ってきたカードを財布に入れると
立ち上がる彼に合わせ
名残惜しさを残す椅子から立ち上がた

スマートな彼が少し遠くに感じる

カランカランとドアの鈴がなる
外の風が熱した身体を冷ましてゆく

廉「……あれ？俺の傘ない……」

『……うそぉ』

廉「……まあ、いいや、ビニール傘やったから誰か間違って持って帰ったんやろ……」

廉「……Aさんの傘どれ？」

『……私のは……あっ!!これ』

取っ手が黒の赤い花柄の傘

サッと傘を差し
「ん？」っと左手を差し出す廉

『……』

ここでさよならだど思っていたけど
違ったみたいだ

彼氏に振られたばかり
出会ったばかりの年下

色んな事が頭を考査する

『……あのー、えっ……と』

廉「……Aさん……ほら、行こう？」

全ても委ねたくなる余裕ある
廉の微笑みに……

身を委ねても今日ぐらいは許される？

意をけして廉の瞳を見ると
惹き付けられるように

彼の差し出す手をとる

傘の中に入れられると
駅とは反対方向に歩き出す廉に

ーどこ行くの？なんて
そんな野暮なこと聞く余裕などなかった

·····end.