Street Blues（Ren.N） (ページ1)

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Street Blues（Ren.N）ページ1

ざわめく人をすり抜けて
ただただ歩く土曜日の夜8時

行き交う人はみな楽しそうで1人取り残されたように
不安が押し寄せる

今日大学から5年付き合った彼氏と別れた

最近はお互い仕事が忙しくてなかなか会えない日が続いていたけどお互い大人だし、付き合ってきた期間が長い分安心していて
気持ちはかわらないそう思っていたのに…

久しぶりに会えることになった今日
食事をしてる途中告げられた別れ

もちろんそこからなにも喉を通らなくて
でも不思議と涙も出なくて

もしからしたら少しづつ離れていく彼の気持ちに
勘づいていたのかもしれない

ボォーっとしながらも不思議と駅へと向かう足取り
人の多さに酔いそうになりながら
それでもすいすい人を避ける

もしかしたら今日食事の後泊まりに来るかな？
なんて思って片付けていた部屋に1人帰りたくなくて

人混みを避けるように脇の細い道に入ると
通ったことのない道にでる

へぇーこんな所にも美味しそうな居酒屋がある

ぱっと目に入ったその横のガラス張りのBAR
定員さんの背中から見えるカウンター

なんだか店内に惹かれ
ドアを開けた

カランカラン

小さく鳴るカネ

隠れ家的な気取らない店内

カウンターの中の店員さんがこちらを見て

「いっらっしゃい、…待ち合わせですか？」

『あっ！いえ、1人なんですが…』

「大丈夫ですよ、カウンターどうぞ」

案内されたキャンドルの火が揺れるカウンターに座ると奥から聞こえる声につられて店内の奥を見る

奥にはソファ席があるようだ

「あっ！さっせん、奥団体さんいてるんですよ…うるさいっすよね？」

申し訳なさそうに眉を下げて謝る店員さん

『いえ、大丈夫ですよ。賑やかな方がなんだか落ち着きます』

ふんわり笑ってそう答えると
優しく笑い返してくれる店員さん

「よかったです。なに飲みます？」

『じゃ、サングリアを…』

「わかりました」

携帯を触ったり、外の景色を眺めたり、店員さんと少し話したりBARに一人で来るのは初めてだけど思ったより過ごせるものだ

2杯目のサングリアがもう少しでなくなる
チラッと時計を見るとBARに入って1時間がたとうとしていた頃だった

グラスに伸ばした手と影が重なり隣を見ると
一人男性が立っていた