覗いてはいけない ページ39
目を覚ますと白い天井だった。
辺りを見回そうとキョロキョロしたら、激痛が走った。
「…いって」
「あ、起きた！」
「シャベッタアアアア！」
「うるせーよ」
視界にひょっこりと現れた３人。
「思ったよりも早く目覚めたな」
「俺、何時間寝てたんだ？」
「５時間」
慌てて身体を起こす。
「Aの所、行く」
「まだ寝てなよ」
「そうだよ、傷酷いんだから」
「行くったら行く」
「はいはい、Aちゃんは、107号室だからはよ行け」
ありがとう、と叫びながら病室を出て、Aの部屋へと向かう。
(人1)Aと書かれたプレートの扉を控えめにノックをする。
だけど、返答は無かった。
さすがに寝てるか、と諦めて立ち去ろうとする。
「…どうぞ」
小さい声だが、微かに聞こえたAの声。
ガラっと思いきり開ける。
「…キヨっち」
「A、」
「扉、壊れちゃうよ？」
「あ、わり」
一瞬、沈黙。
お互い怪我をじっくり見る。
「酷い怪我だね」
「お前もな」
「お揃いだね」
「こんなお揃い嫌だわ」
ふふ、と笑いながら引き出しから何かを出すA。
「そうだ、私達のお揃いはこれだもんね」
「…おう」
思わず付けているネックレスを優しく撫でる。
「この11って、日付だったんだよ」
「え、そうなの？」
「私達が引き離された日を、お母さんは記したんだろうね」
「…」
11、月だったのか。
潰れていた部分は日にちだったんだな。
「A、」
「んー？」
「…退院したら、一緒に住もう」
「え？」
突然の宣言に目を丸くするA。
「ん？」
「何で言った本人が驚いてるの」
「いや、あの、その、」
「いいのいいの、気遣ってくれてありがとうね」
数時間前と同じように頭を撫でられる。
巻かれている包帯が痛々しい。
「…だー！俺が一緒に住みたいの！」
赤くなった顔を隠す為にAを抱き締める。
「キヨっち、苦しい」
「あーうるさいうるさい」
「…お兄ちゃん、」
「うるさいうるさい、って…え？」
「ありがとう」
細々とした手が背中に回される。
時折聞こえるAの鼻歌。
ふと、最初にしていた会話を思い出す。
『ありがとう！キヨお兄ちゃん！』
『こんな妹ごめんだわ』
『何で！妹萌えしないの！？』
『ねーよ有り得ないわ』
複雑な事情とは言え、俺って重度のシスコンだったんだな。
自然と抱き締める力が強くなる。
深夜０時。
暗かったけど、月明かりが病室を照らしていた。
***
詳しくは次の後書きにて
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
