どうして、どうして ページ31
「…は？」
「あなたの、妹」
頭の中が白く溶け、落ちるような衝撃。
息を呑んだまま、唖然となる。
カラカラと喉が、乾く。
「父親は違うから異父兄妹ね」
「異父、」
「前の旦那、Aの父親は数年前に亡くなったらしいわ」
次から次へと入ってくる事実に頭が追い付かない。
妹、Aが俺の妹。
何か深い関わりがあるとは思っていたけども、まさか肉親だったとは。
父親が違えども。
「その時にAを引き取らなかったのか？」
「…経済的余裕が無かったのよ」
「…」
「それから叔父の元で暮らしているらしいわ」
「叔父、」
整理が、出来ない。
分かっているけど、分かりたくない。
分かっているつもりで、話を聞いている。
つもり。
「でもね、前はAの様子を逐一報告してくれていたのに、ここ数年さっぱり連絡が取れなくてね」
「…何で？」
「それは分からない、でも私は確かめる勇気も権利も無い」
だから、と言って棚からペンを取り出した。
そしたら、Aは叔父の家で何かあったのではないのだろうか。
何か、何か。
「これ」
「何？」
紙に何かを書き出し、差し出してきた。
「叔父の住所、まだそこにAは住んでいると思う」
「…」
「どうして存在を知ったかは聞かないけど、本気だったら渡す」
「…」
羅列している文字が滲んで見える。
戸惑いながらも、紙を受け取った。
何か事件に巻き込まれたのか？
それで俺に助けを求めたのか？
どうして霊になって出て来たんだ？
本当にもう、死んでいるのか？
どうして、どうして。
どうして、どうして。
受け取った紙に汗が滲む。
その日、Aは帰って来なかった。
***
歯抜いた場所、痛過ぎて死ぬかと思った
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
