存在意義に喰らい付け ページ27
俺の家の近くにアクセサリー専門店は、無い。
だが行く当ては、一つある。
家から１分以内にある何でも知ってる何でも屋のオヤジ。
カランカラン、とボロボロの扉を開ける。
「オヤジ、助けてくれ」
「またサッカーボール壊したの？それともベルト？」
「どっちも違う」
「今度は何？」
怠そうに店の奥のリビングからぬっと出て来た。
テーブルの上を見てみると、昼食中だったようだ。
「ちょっと緊急なんだわ」
「キヨくん、私のご飯タイム邪魔するの好きだよね」
「何でも屋のオヤジ、これ頼んだ」
「…ちなみに何回も言ってるけど、私の家は時計屋だよ」
知るか。
俺が何でも屋と言ったら何でも屋だ。
ま、そんなこと言ったら直してくれないと思うから黙っていよ。
「この錆びれたネックレス、どうにか綺麗になんない？」
「はーこれまた酷いね」
「10年以上手入れ放置したこうなったっぽい」
「こういうのは、汗の塩分とかで汚れるんだよね〜」
錆が付かないように、ハンカチでネックレスを受け取るオヤジ。
ライトに当て、じっくりと見始めた。
「こういうのはね、お椀かコップ内側にアルミホイルを敷いて、アクセを入れてから湯を注いでね、それから重曹を、」
「だー！分かった！分かった！それをやってくれ！」
「これ、そんなに大事な物なの？」
こんなに焦って頼んだことが無いせいか、珍しそうな顔で伺ってきた。
真剣味が無いと急いでやってくれないかもしれないな。
Aの為だ。
「…大事な物か分かんねーけど、もしかしたら大事な人に関係してるかもしれないんだよ」
顔が熱くなる前に扉を開け、立ち去った。
赤くなる前に背を向けて良かった。
「はー青春してるねー」というオヤジの声も聞かずに家へと猛ダッシュして帰宅。
「ただいまー」
「あら、帰ってたの？」
リビングでは、優雅にお茶を飲んでいる母親を発見。
丁度良いタイミング。
ネックレスが戻って来る前に聞いてみるか。
「俺さ、小さい頃に母ちゃんからネックレス貰ったじゃん？」
「っ、」
パリーンと大きな音を立てて割れた湯呑み。
突然の出来事に耳を塞ぐ暇も無かった。
「え、どしたの？」
「…どうして、それ、」
「？」
「あなた、まさか」
言おうか言わないか迷っているような顔に戸惑う。
聞かない方がいいのだろうか。
一呼吸置いて、母親が口を開いた。
「Aちゃんのこと、思い出したの？」
***
時計屋のオヤジなんて出すつもりなかった
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
