中毒症状レベル：強 ページ26
あれから３時間程飲み、気が付けば日にちが変わっていた。
結局、店に行く以外にネックレスの解決策は見つからなかった。
とりあえず、お開き。
何となく今日は帰るのが怖かったから、P-Pの家に泊めてもらうことにした。
相変わらず、客人を招くしっかりとした寝床は無い。
煎餅みたいに薄べったい座布団を枕代わりにして、二人ベッドで横になる。
「Aちゃん、ネックレス見るまでは元気だったの？」
「おう、花見て騒いだり、俺の実況収録中に実況してるよ」
「え、キヨくん家に花なんてあったっけ？」
「…俺が買った」
こいつ、普段は話聞いてないくせに人が突っ込まれたくないとこばかり突いてくるな。
恥ずかしさのあまり、顔を毛布で隠す。
「へー仲良くやってるんだね」
「ニヤニヤすんな」
「何で分かったの！？」
「暗くても声でバレバレだっつーの」
花のこと言うんじゃなかった。
未だニヤニヤ声で話すメガネの腹目掛けて蹴りを入れた。
「いてっててて、僕は幽霊との恋愛もいいよ思うよ」
「ちげーし、てかそんなの模倣的じゃないだろ」
毛布から顔を出し、天井を見つめる。
真っ暗な視界に慣れてきて、目を懲らす。
「…じゃ聞くけど、模倣的な恋って何？」
「え、そりゃ職場恋愛とか学校恋愛とかだろ！」
突然の問いに、思わずヒステリックな声を張る。
くらくら煮立った鍋のようにむしゃくしゃする胸の中。
「んー大体、恋に模倣なんてあるのかな」
「…」
「相手の素性が分からなかったら、好きになっちゃダメなのかな」
「…」
「型に嵌まらないのが、恋愛じゃないのかな」
「…」
「ま、大して恋愛してこなかった僕が偉そうに言うことじゃないけどね」
「…本当だよ」
なーにが本当だよ、だ。
真実からも自分の気持ちからも逃げておいて。
情けない、本当に情けない。
「やーAちゃんは愛されてるな〜」
「…お前はゲーセンに吸い込まれて音ゲーでもやってろ」
「図星だからって、ひどい！」
「あーうるさいうるさい」
Aは、俺が帰宅していないことに心配していないだろうか。
こんな時、普段頼っている携帯がおもちゃに見えてしまった。
連絡取りたい人と繋がっていなかったら、何の役にも立たない。
今日もすやすやと部屋に浮遊して寝ていればいいんだけどな。
その光景を思い浮かんだら安堵し、徐々に睡魔が瞳を閉じさせた。
***
107小説恒例、足氏にかっこいいことを言わせたかっただけ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 296人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
