壊れそうなあの子 ページ23
「帰って来たのに何で急いでるのー？」
「今から打ち上げに行く」
「花火？」
「違う、飲み会」
唐突なボケにも大してツッコまず、ガチャガチャ乱暴に引き出しを開ける。
「何してるの？」
「ん、ついでにアクセ整理」
「これまた服と同様、数が半端無いね〜」
ジャラジャラと絡まっている物を解いていく。
上手く出来ず、もどかしい。
時間が無いから「ジャラジャラ♪」と歌いながら頭上を回っているAはスルーしよう。
「だー指痛い」
「もうそれ解くの絶望的だと思うよ」
「だよな」
最初よりも絡まった物体を奥にしまいこんだ。
少し手が臭くなってしまった。
もう最近臭い祭りだな、本当に。
「あれ、奥の箱に入ってるのは何？」
「あぁ、これは、」
…何だっけ。
確か母親に貰ったネックレスだった。
これを貰ったのはいつだっけ？
そもそも何で貰ったんだっけ？
思い出せないモヤモヤしながら、開けて見る。
「くさ！」
「…なんかこれ、気持ち悪い」
「確かに不気味な臭いだよな」
「そうじゃなくて、」
「ん？」
いつもと違う声のトーンに戸惑う。
思わず二度身をする。
「この姿で五感を味わえたことは無いけど、そのネックレス？見ると微かに、吐き気が、」
「え、お前大丈夫か？」
「…うん」
「俺行くのやめようか？」
なんか心配だし。
このまま行ったら二度と会えなくなるような過剰な不安が襲ってきた。
「みんな待ってるからダメだよ！行っておいで！」
「…本当に大丈夫か？」
「大丈夫！はい治った！ほら治った！」
力拳を出すようにポーズを取るA。
いつもに戻っているようで、無理をしていよう、な。
「あーあ、クソ錆のせいで手汚れたわ」
「磨いてもらえれば綺麗になりそうだね」
「そうだな、近い内に磨いてもらおうかな」
指を挟まぬよう、再び箱を閉める。
「それ、持っていくの？」
「一応、」
このネックレスを部屋に置いて行くのは、何となく気が引けるな。
Aが反応したということは、生前で何かあったのかもしれないし。
打ち上げにも来るあの３人にも聞いてみよう。
「じゃあ行ってくるわ」
「うん、気を付けてね！」
しっかりと箱を鞄の中へと入れ、防寒着を羽織る。
扉を閉め切る前に瞼に深い哀愁がこもっている寂しそうなAの顔が見えた。
気付かないふりをして、打ち上げ会場へと向かった。
***
関係無いけど小説のアンケ機能付かないかな(短編集で人気な話が知りたい)
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
