鎮静作用は別にあった ページ21
「手に持ってるの、なーに？」
「アロマオイルらしい」
「それも買ったの？」
「生花買った時に貰った」
何かのキャンペーン期間中らしい。
他の客には渡していなかったが、どういうキャンペーンなんだろうか。
こぼさぬように蓋を開ける。
その瞬間、俺の部屋中に女子力(笑)の匂いが充満した。
「う、わ」
「？」
「くっさ！」なんて言う元気すら奪う原因。
俺にとったら匂いじゃなく臭いだわ。
くっさ。
素敵な笑顔でくれた店員さんには悪いけど、下水道と良い勝負だ。
「う、鼻がもげそう」
「そんなに酷いの？」
「…俺、こういう甘ったるい匂い苦手なんだよ」
あー若干気持ち悪くなってきた。
思ったよりも香りが濃いような気がする。
誰かがローズには、鎮静作用があるだなんて言っていたけれど嘘だろ。
全然リラックス出来ねーわ。
思わず持っていた説明書を睨み付ける。
「キヨっち！ペンチあるよ！」
「何でもぎり取ろうとしてるんだよ！」
「え？そういうことじゃないの？」
「そういうことじゃねーよ！」
鼻を押さえながら窓を開けた。
真冬を思い起こさせるように鋭く、風は険しさを感じるほど冷たい。
空気の冷たさが肌を刺す。
「あーさみー早く俺の部屋から出てってくれー」
「…分かった、お元気で！」
「ちょ、待て待て待て！今の流れでどうしてそうなった」
「ペンチのお詫びだよ！」
「どこかお詫びだよ！」と、叫びそうになったところでやめた。
どこかお詫びだよ
↓
お前が出て行くことは、俺にとってのお詫びではない
↓
出て行かないでくれ
と、すんなり自分で解釈する程流れが早かったからだ。
「どうしたの？まだ気分悪い？」
「…少し」
嘘だけど。
「よーしよーし」
「…」
「臭いの臭いの〜飛んでけ！」
「…」
「飛んでった？」
「…飛んでった」
臭いの臭いの飛んでけには、突っ込まないでおこう。
一瞬、吹き出しそうになった。
「治った？」
「…治った」
「そっか、良かった良かった」
「おう」
俺は母親によしよししてもらってる小学生かっつーの。
悪い感じはしないけども。
いや、そもそもそれが悪意というかなんというか。
あぁ、もう分かんなくなってきた。
最初とは明らかに違う自分の態度に蓋をするよう、強く窓を閉めた。
***
そして女店員の露骨なアピールに気付かない輩氏
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
