確信したくなかった ページ15
降りそうなまま執拗に曇った空が鬱陶しい。
頭を掻きながら怠そうに起床した。
「寝過ぎ！」
「…眠れなかったんだよ」
「何で？」
「何でって、」
誰のせいだと思っているんだよ。
いつもしないような不安気な顔で寄り添われたらそりゃ寝れんわ。
ふあ、っと壮大な欠伸が出る。
「今日は何するの？」
「うっしーと飲むんだよ」
「わお！飲み！大人〜」
まぁ、俺は飲めないんだけどね。
段々と眠気が取れ、完全に目覚めた。
背伸びをし、朝ご飯兼昼ご飯を食べ、少し早めに家を出る。
街中をうろついていたらあっという間に待ち合わせ時間が来たので、指定された場所へと向かう。
到着するとメガネにハット、お得意のシャツ姿で揚々と手を振って来た。
「よっ奴は居るのか？」
「奴？」
「奴じゃないよ！Aだよ！」
「「奴じゃない！」って頭上で怒ってる」
「あ、居たのな」
レトさん達とはまた違ったうっしーの雑な扱いに怒りつつも、嫌そうな感じはしていない彼女。
気を遣ってくれたのか、居酒屋は完全に個室だった。
これだったら周囲を気にせずにAとも話せるな。
…何考えてるんだ、俺。
これじゃA優先してるみたいじゃねーか。
後ろを見ると嬉しそうな彼女が居た。
心拍数が上がっていく自分が嫌になる。
大量の商品を頼み、テーブルがぐちゃぐちゃになってきた。
突然、閃いた表情でうっしーが発言した。
「A、お前外の天気見て来い」
「牛っちのくせに命令！？」
「いいから、帰りの俺達の為に見て来い」
「もう！見てくればいいんでしょ！」
「まったく、もう！」と頭から湯気が出ていると言っても過言では無い程、オーバーリアクションで居酒屋をすり抜けて行く彼女。
「天気だったらアプリ見ればいいじゃん、なしたの？」
「で、あいつのこと好きなんだろ」
「…は？」
「お前、完全に顔に出てる、甘過ぎ、アホ面」
「は！？」
散々、その後も尋問され続けた。
素面状態で問い質されるのが辛くなり、とうとう酒を頼んだ。
中々Aは戻って来なかった。
「おら、認めろよ、好きなんだろ？」
「あーもううるさいうるさいうるさい！」
「お前の方がうるさいわ」
両耳を叩いて、必死に聞こえないフリ。
腕が疲れ、そっと外す。
「うるせーよ…好きで、悪いかよ、」
慣れない酒で直ぐに酔いが回る。
大量の睡魔が自分を襲い、テーブルに突っ伏して寝る。
頭上に居た彼女にも気が付かずに。
***
頭上に幽霊居たらちびるわ
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
