眠たげな微風音が刺さる ページ14
白く濁った、熱く甘い夏を含んだ雲。
その光景がより一層、自分の考えを暗くさせた。
もどかしく自宅の鍵を差し込み、ガチャガチャと開ける。
購入したシャボン玉一式を乱暴にテーブルへと起き、ドサっと座る。
先程の光景を思い出していた。
キヨくんとAちゃん。
Aちゃんの姿は見えなくても、一目瞭然だった。
特にキヨくんのAちゃんに対するあの優しい視線。
実況を始めてから結構絡んでいたつもりだったけど、あんな姿初めて見た。
あの男の拠所になっていないだろうか。
あんなにのめり込んでいつか別れの時が来たら、大丈夫なのだろうか。
崩壊、しないだろうか。
「よっす！」
「ウギャア！？」
「わ、ビックリした」
「ビックリしたのはこっちやわ！何でお前が居るんだよ！」
バッと勢い良く振り返ると、真後ろに足ことP-Pが立っていた。
考え事していると周りの音にも気付かないもんやな。
ついでだから先程考えていた心配事を奴に打ち明けてみた。
P-PもAちゃんのこと知ってるしな。
「どう思う？」
「どうって、それは僕らが心配することじゃない」
「そうなん？」
「そこは僕らが踏み込んでいい所じゃないよ？」
「…そうか、そうだよな」
「それに人の恋路の行く末に先回りする権利なんて誰にも無いよ」
「…」
「勿論、レトさんにもね」
決めつけるのは良くないと分かっているけど、けど…。
あの二人は、人間と幽霊なんだ。
決して交じり合うことは、無いんだ。
それだったら、まだ傷口が浅い内の方がいいじゃないか。
「なーんて、ね」
「は、」
「あの二人がというか、生前のAちゃんがほの字か分からないしね」
「…そうやな」
「あ、チャンネル用の動画録るんでしょ？」
「あぁ、じゃソファーでくつろいでて」
P-Pが座る前に「まぁ、今互いに恋焦がれてるとは思うけどね」と言っていたのは、聞こえないふりしよう。
察されないように台所で動画を撮る準備を始めた。
飾っていた風鈴の涼しげな音が忌々しく感じた。
***
「人の恋路の行く末に先回りする権利なんて誰にも無いよ」←これを足氏に言わせたかっただけ
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
