境遇の痛感速度 ページ13
この姿になってから声が聞こえるの。
前の姿なんて分からないし、幻聴なんかじゃない。
確かに、蔑むような嫌な声が沢山聞こえるの。
『お前は、守護霊・背後霊・自然霊・動物霊・浮遊霊・地縛霊のどれにも属していない』
『幽霊界のゴミだ』
『人間観でも幽霊界でも邪魔だ』
なんて、ドロドロとした物体のような奴が私の周りで囁く。
囁くなんて可愛いレベルじゃないけど、一気に負の感情が心の中にドっと入って来る。
引き摺りこまれそうで、最近よく見る怖い夢。
…そう、夢だ。
こんなに怖いのは、夢に違いない。
布団の中でウトウトしているキヨっちの元へとそっと近付く。
「※☆♪％＄＃！？」
「今の叫び、何？」
「何でもねーよ、どうした」
「怖い夢見た」
いつもの叫びで安心した。
別に驚かすつもりはなかったんだけどね。
安心源へと近付く。
「お前寝ないだろ」
「うん、でも怖い夢を見たの」
「…そうか」
あんな暗い所、私は行きたくない。
もう関わりたくない、でもついてくる。
余計な心配、というかキヨっちビビりだから言えないけど。
そしてこれも怒られるから言えないけど。
「パフェの語源は、パーフェクトからきている」
「！？」
「サランラップは、元々銃や爆弾を保存する為に発明された」
「急にどうしたの」
「昔知った雑学が突然舞い降りて来た」
「本当に突然だね」
何の予兆も無く雑学を喋り出す人初めて見た。
思わず笑いがこぼれる。
「人って、どういう時に死にたくなるのかな」
「どうした」
「ううん、ただ参考になるかな、と思って」
「…」
「ごめんごめん、忘れ」
「例えば、好きな相手に二度と会えなくなったりしたら死にたくなるんじゃねーかな」
二度会えなくなる程、好きな人が私にも居たのかな。
そんな淡い希望持ってて、許されるのかな。
「そっかぁ、その例えだったら私にも死にたくなる程好きな人が居たってことかな」
「お前が恋愛してるイメージないけど」
「だ！か！ら！例えばの話！」
「あっそ」
「そしてその例えによって、知らない人に恋してる感は出ちゃったよね」
「…」
「まぁ思い出せないんだけどね」
私が生き返った時にキヨっちとまた居れるのかな。
今みたいに関わってくれるのかな。
そんな考え、都合良過ぎるかな。
ましてや、肉体が存在してるか分からないのに。
記憶すら、無いのに。
スースーと隣から寝息が聞こえて来たので、再び寄り添った。
***
初の幽霊ちゃん視点
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
