数十秒の攻防 ページ11
「これにするか」
「何で洗剤？」
「ストローとこれあれば作れるだろ」
「ダメだよ！シャボン玉を何だと思ってるの！？」
「お前こそ何だと思ってるんだよ」
この間の生理話の詫びとして、何故かシャボン玉をすることになった。
てか、詫びって何だよ。
「専用のやつじゃないとやだ！」
「へーへー分かりましたよーお嬢様ー」
「へーは、一回！」
「へー」
それを言うなら「はいは、一回」だろ。
まぁ、また突っ込むと面倒になるから言わんけども。
「あれ、」
「え、」
シャボン玉コーナーらしき所で、まさかのレトさんを発見。
スタンダードなサイズから大きい物までカゴに入れてやがる。
「レトっちだー！」
「A、「レトっちだー！」って喜んでるぞ」
「お、Aちゃんもおるん？」
そう言うと、ハイタッチしようと頑張るA。
「ここかな、ここかな？」と言わんばかりに空振りしまくるレトさん。
何故かその光景にモヤモヤしたのでつい話を切り出した。
「チャンネル動画にでも上げる用？」
「え？そうそ…って違うよ！違くないけども、違うよ！ネタバレなっちゃうから言わない！」
「もう言ってるようなもんでしょ」
「違うから！」
「レトっちファイトー！」
「ほら行くぞ、レトさんじゃあね」
またレトさんに絡んでいる彼女にイラっとしてしまい、ついその場から離れる。
触れも出来ないのに、手を掴むかのように急ぐ。
家に帰って来て焦るように袋からシャボン玉一式を開封する。
親が居ないので、今がベランダでやるチャンスだ。
ガラガラ、っと窓を開ける。
今日は天気が良かったせいか、夕暮れが特に綺麗だ。
「早く早く〜」
「待ってろ、今やりやすいポジション取るから」
しゃがみ込み、ふーっと優しく息を吹き込む。
細管の一端を浸け、端口に薄膜を張り、細管を引き上げ、細管の他方の口から細管内に呼気を吹き送る。
「大きいの来たー！」
「吹き辛いからあんま近付くな」
「やっぱり大きいのがいいよね〜」
「話聞けよ」
その後も何度も何度も吹いた。
キャッキャっと新しいオモチャで遊んでいるかのように、彼女はずっと笑っていた。
「…楽しいか？」
「ん？」
「今、楽しいか？」
「うん！すっごく楽しいよ！」
「そうか」
なら良かった、と絶対に聞こえない声量で呟く。
傍にあった一つのシャボン玉がパチンと静かに割れた。
***
この小説では、K氏→関東実家住み、R氏→関東一人暮らしの設定です
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トマトまと(プロフ) - 続き→他の方が言っていたように、1度しか評価できないのがとても悔しいです…私も幽霊系大好きです!【覗いてはいけない】めちゃくちゃ好きな作風でした!押し入れで寝るの憧れますよね分かります。最後に、素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年4月10日 21時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 初めまして!とても素晴らしい作品でした!!最初は、生霊なのかな?と思いながら読んでいたのですが、血を流して眠っている。石の様だ。というような表現をされていたので、一瞬吃驚してしまいました。主ちゃんが生きてて本当に良かったです… (2022年4月10日 21時) (レス) @page41 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 未愛さん» ｳｫｵｵありがとうございます！世紀末のエンジェル面白いですよね、本棚に入れてたまに読んでますー！そして占ツクは同世代が居ないのでめちゃくちゃ嬉しいです…！ (2016年6月11日 16時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
未愛(プロフ) - 今さらながら107さんの小説を知りました。短編全部読み、この小説にたどり着きました。読んでる途中に世紀末のエンジェルを思い出して後書きを読んだらビックリです。107さんと同世代みたいです。小説が素晴らしかったのと世紀末が懐かしくてコメントさせて頂きました。 (2016年6月8日 18時) (レス) id: 9d599423c5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - あきみゃんさん» ぎゃー！早速ありがとうございます！このコメ返したら即直しますね！ (2015年12月17日 1時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年7月23日 0時
