いつもの有線が聞こえない ページ5
「本当にここで良かったの？」
「ん？何でですか？」
「もっとこう、シャレてるお店っていうの？そういう所じゃなくていいの？」
「私、異常に静かな高いお店の雰囲気、苦手なんです」
メニューを見ながら答える。
かしこまった所でなんて余計に緊張しちゃうしね。
「それに、自分の好きな物沢山頼めて、お互いの好きな物分け合ったりするのが好きなんです」
メニューのフードサイドを指しながら言う。
そして何故かプルプル震えながら、唇を噛み締めている彼。
え、何か変なこと言ったかな。
食い意地張ってる女だと思われたかな。
俺の食べ物は渡さねーよってことかな。
心配になって不安声で聞いてみる。
「変、ですかね」
「ううん、俺も大好き」
まるで自分のことを大好きと言われたみたいでドキっとした。
落ち着け、場所の話だ。
断じて私の事では、ない。
あぁ、居酒屋が羨ましい。
メニューを持つ力が自然と強まっていくのが分かった。
そして本題へと入る。
「あの、」
「ん？」
「あの時、というか前回は本当にすみませんでした」
「全然、気にしないで」
「でも、」
「むしろ初対面で、Aちゃんの負の感情見れてラッキーと思っているから謝らないで」
う、恥ずかしい。
本当にあの時は苛立ちも涙も全部ぶつけてしまった。
初対面なのに。
思わず俯く。
「あ、嫌な気分にさせちゃったならごめんね」
「いえ！全然！食べましょ飲みましょう！」
その後からは、時間が経つのが早かった。
食べるのも飲むスピードも別に早くしているわけじゃないのに。
この人と居ると調子が狂う、いつもの自分じゃなくなる。
「私がお礼する日だったのにすみません」
「ん、いーのいーの」
そう、今回は全額出す気満々だったのに見事にやられた。
私がトイレ行っている間に会計を済ますというスマートな行動。
店から脱出して夜風に当たる。
「じゃあ、次は割勘にしてもらおうかな」
「え？」
「そしたらまた会える？」
「…っ、」
この人は無意識なのか分からないけど突然爆弾放り込んでくる。
誤魔化す表情を奥から引っ張り出すのが大変だ。
「…はい、また連絡してもいいですか？」
「勿論、仕事で返せない時以外は基本暇だからいつでも大丈夫だよ」
そう言いながら手を振って、彼は代行の人と共に車へと乗り込み、私は気持ち悪くニヤニヤしながら駅へと向かった。
***
お前らそろそろくっつけよ！みたいなもどかしい距離感書くのも楽しい
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107(プロフ) - 柚樹@アキちゃん廃。実況廃人の廃人さん» ありがとうございます！後書きにも書いた通り、しばらくTw氏の作品を書くつもりはございません。短編集にはまだTw氏の話が残っているので、良ければそちらもどうぞ〜！ (2015年8月12日 8時) (
レス) id: 97678ed339 (このIDを非表示/違反報告)
柚樹@アキちゃん廃。実況廃人の廃人(プロフ) - 凄い良作…一気に読み終えましたw最初は睡魔と戦っていたのに一話毎の小ネタ(？)に笑い展開やもどかしさに興奮して…すっかり眠気消えましたww面白かったのでTWさんの他の作品があれば見るつもりです！またコメ欄に現れr(素敵な作品ありがとうございました！ (2015年8月12日 1時) (レス) id: b347cf8ab5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - お腹がいつも空いてる桜吹雪さん» あ、誤字ですか？ありがとうございます、直しておきますね。 (2015年8月1日 1時) (レス) id: 97678ed339 (このIDを非表示/違反報告)
お腹がいつも空いてる桜吹雪(プロフ) - うわぁぁぁぁぁぁぁ！！ 物凄く面白いです！！ つわはす…引退(泣) そう言えばいつもの有線が聞こえない？でしたっけ そのところ仕様かは分かりませんが 緊張居ちゃうしね。 って書いてあったんですが…気になってしまい… 教えてください！！私気になります！← (2015年7月31日 23時) (レス) id: 8bff0a6bf7 (このIDを非表示/違反報告)
なな☆(プロフ) - 107さん» いえ、いいですよ。こんな素敵な小説に出会えただけでも嬉しいですし、お話もして下さって、十分満足です。話変わりますが、完結おめでとう御座います。新作も楽しみに待ってます。これからも短編集等の更新頑張って下さい。 (2015年7月19日 16時) (レス) id: 6f8e57e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年5月20日 21時
