【Tw】酸素吸って暴言吐く

自転車と風鈴とそれから ページ40

外で急にガシャンと激しく転倒したような音が聞こえた。

お隣さんが何か倒しちゃったのかな？
気になったのでバレないようにそっと窓を開けて見る。

そこには転んでボロボロになった自転車とつわはすさんが居た。


「あ、の！」

深夜なのに思わず叫ぶ。
いかん、この声の大きさは近所迷惑だ。


「あ、見つかっちゃった」
「見つかったじゃないですよ、何してるんですか」

へらへらと話す彼。

もう会えないと思ってた。
連絡も無いし、あの日で終わりにされたのかと思ってた。

何の関係も始まってないのに終わり、っていうのもおかしいか。

ふっと何かを悟ったように悲しく笑う。


「こんな時間にごめんね、今大丈夫？」
「…平気ですが、」
「じゃあ後ろ乗って」
「えっ」

サドルの後ろを差される。
二人乗りするってこと？

というかこの状況なんだよ。


「もしお巡りさんに見つかったらつわはすさんが罰金払ってくださいね」
「オッケーその時はコンビニ寄らしてね」
「(いいのかよ、)じゃあ、失礼します」

よっと声を出し、後ろの荷台に跨る。

女の子らしく座りたいけど、不安定なの怖いからな。
ここで女子らしさよりも安全策を取ってしまう自分、ね。

私が乗ったのを確認して発進させる彼。


「この間はごめんね」
「…いえ、」

思い出し照れをしてしまって、つい冷たい反応を取る。
自転車で良かった、今きっと顔真っ赤だもの。

ぎゅっと彼の服の裾を握る。
その瞬間、少し揺れる自転車。


「本当は車で来ようとしたんだけど、警戒されると思って、」
「それで、自転車に？」
「うん、けど久しぶりに乗ったから危ないや」

ははっ、と小さい声で笑いながら話す彼。
表情見たいな、どうなってるのかな。


「あのね、」
「ん？何ですか？」
「気付いてると思うけど、Aちゃんのこと好きなんだ」

…とうとう幻聴が聞こえるようになってしまったか。
風のせいで良いように自分の中で変換しちゃったのかな。

黙っていると向こうの深呼吸が聞こえてきた。



「もっかい言うね、俺はAちゃんのことが大好き」


自分の中の風鈴が激しく揺れた、気がした。







***

本当はくっつけて完結するつもりだったけどちょっくらイチャコラさせますか

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