心地良い揺れに惑わされる ページ26
電車に揺られる。
かなり遅い時間のせいか、この車両には僕とAちゃんしか居ない。
聞くなら今、かな。
「一ついい？」
「何でしょうか？」
「出会い方は、本当につわはすさんが気になってAちゃんに声をかけただけ？」
「…え、っと」
明らかに戸惑っているな。
やっぱり違うんだろうな、と勝手に思う。
「話したくないならごめんね、でも僕つわはすさんがナンパみたいなことするとは思えなくて、」
「…」
「彼は誠実な人だし、」
「…」
「それに大事な友達だから本当の事が知りたいんだ」
「…っ、」
口をギュと閉じ、目を見開く彼女。
つい『話したくないなら』なんてズルい言葉を使ってしまった。
そんなことを相手に言われたら話さざるを得なくなるだろう。
そうなると分かってて言う僕は本当に嫌な男だな。
「…本当、は」
「うん？」
「私が恋人にフラれて一人ホームでボロ泣きしていた所を彼が声をかけてくださったんです」
「うんうん」
「でも、我慢出来なかったとは言え、泣いてる所を他人に間近で見られるのは嫌だから最初は邪険に扱っていました」
「ほうほう」
「それでも、彼は無理に理由を聞こうともせずに卓球に連れて行ってくれました」
なるほど、それが真実か。
だけど、それでもいまいち納得できないな。
異性、特に泣いている女性なんて居たら絶対に声かけないと思うんだけどな、つわはすさんの性格的に。
そして何故に卓球なんだろうか。
「私は、あの人をお慕い申しております」
「へ！？」
「もうバレていると思ったので、」
てっきりつわはすさんのべた惚れ片思いかと思いきや、この二人両思い！？
これが噂の両片思いってやつなのかな。
思い合っているのにお互い気付いていないパターン？
周囲がモヤモやするパターン？
「仲良いからって絶対に言わないで下さいよ！」
「お、それはフリかな？」
「違いますよ！」
「へへ、ごめんごめん」
僕から伝えてもいいけど、この様子だとその必要は無さそうだな。
そしてつわはすさんが頑張って恋愛している所を見たいってのもあるし。
「じゃ、僕ここで乗り換えだから」
「あの、本当に言わないでくださいね…」
「大丈夫大丈夫」
電車のドアが閉まり、不安そうな表情をしているAちゃんが見えなくなるまで手を振った。
なんか、あの子のおかげで楽しくなりそうだな。
ニヤニヤしながら背伸びをし、ホームに背を向けた。
***
今回の足氏は完全に二人を見守る側(予定)ですね
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107(プロフ) - 柚樹@アキちゃん廃。実況廃人の廃人さん» ありがとうございます！後書きにも書いた通り、しばらくTw氏の作品を書くつもりはございません。短編集にはまだTw氏の話が残っているので、良ければそちらもどうぞ〜！ (2015年8月12日 8時) (
レス) id: 97678ed339 (このIDを非表示/違反報告)
柚樹@アキちゃん廃。実況廃人の廃人(プロフ) - 凄い良作…一気に読み終えましたw最初は睡魔と戦っていたのに一話毎の小ネタ(？)に笑い展開やもどかしさに興奮して…すっかり眠気消えましたww面白かったのでTWさんの他の作品があれば見るつもりです！またコメ欄に現れr(素敵な作品ありがとうございました！ (2015年8月12日 1時) (レス) id: b347cf8ab5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - お腹がいつも空いてる桜吹雪さん» あ、誤字ですか？ありがとうございます、直しておきますね。 (2015年8月1日 1時) (レス) id: 97678ed339 (このIDを非表示/違反報告)
お腹がいつも空いてる桜吹雪(プロフ) - うわぁぁぁぁぁぁぁ！！ 物凄く面白いです！！ つわはす…引退(泣) そう言えばいつもの有線が聞こえない？でしたっけ そのところ仕様かは分かりませんが 緊張居ちゃうしね。 って書いてあったんですが…気になってしまい… 教えてください！！私気になります！← (2015年7月31日 23時) (レス) id: 8bff0a6bf7 (このIDを非表示/違反報告)
なな☆(プロフ) - 107さん» いえ、いいですよ。こんな素敵な小説に出会えただけでも嬉しいですし、お話もして下さって、十分満足です。話変わりますが、完結おめでとう御座います。新作も楽しみに待ってます。これからも短編集等の更新頑張って下さい。 (2015年7月19日 16時) (レス) id: 6f8e57e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年5月20日 21時
