ニヒリストの願いは届かず ページ1
その日は、特に暑かった。
いや、５月だからしょうがないか？と思っていても尋常ない程の暑さだった。
額の汗を手で拭う。
今日の仕事もとりあえず終わりだ、車停めてある駅へと向かう。
人通りの少ない駅にして良かった。
人とぶつかる度に汗と汗がくっついて、気持ちが悪い。
ぬるっと物理的にも精神的にも垂れる音がした。
あぁ、早く夏終わらないかな。
そんなことを鬱々と考えながらホームに降りると少女が俯いて泣いていた。
俺より少し下、いや同じくらいか？
彼女はまだ俺に気付いていない。
…話しかけるべきか。
いや、そんなことしたら不審に思われるか。
いやいや、でも他の危ない男に声をかけられるくらいなら、と思う。
俺は自分が不審な男に見えないかの様にまっすぐ彼女の元へと歩いた。
「具合、悪いんですか？」
「…」
「その、すごく泣いてらしたので、」
「…」
「お水、飲んでないのでどうぞ」
完全に不審がられている、失敗した。
彼女の表情は悲しい感じから一変、俺を怪しむように見ていた。
「私、お水嫌いなんです」
「あっ」
そうか、そうだよな。
まず男のバッグに入っていた水なんて、飲みたくもないし好みもあるよな。
ホームの自販機へとダッシュし、複数の飲み物を買う。
自販機の遅さにイライラする、早く出ろよ。
戻ると、まだ彼女は座っていた。
「この中でどれがいいですか？」
「…は？」
ぜーぜーと焼き豚のように深呼吸しながら話す俺。
大丈夫かな、このおっさんキモイって思われてないかな。
「…名前、なんですか？」
「俺、つわはすって言います！」
「変な名前」
やった！話しかけてくれた！
というか、反応してくれただけでも嬉しい。
「良かった、そこまでは回復したんですね」
「え、」
「だって、最初は返答出来ない程、頭回っていなかったでしょう？」
「…」
さっきまで彼女は、落ち込んでいたからしょうがない。
そこまで弱っていた人に対応力を求めてはいない。
求めてはいけない。
「そうだ、これからバッティングセンターでも行きません？」
「…卓球」
「ん？」
「私、卓球好きだからそっちやりたいです」
「了解！じゃあ落ち着いたら行きましょうか」
まさかの球技変更。
しまった、卓球大丈夫だったかな。
俺は彼女にバレないよう、気分良く電車へと一緒に乗った。
何の変哲も無い日常に色が付いた気がした。
***
ほんとのほんとにこれ長編にして大丈夫だった？
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107(プロフ) - 柚樹@アキちゃん廃。実況廃人の廃人さん» ありがとうございます！後書きにも書いた通り、しばらくTw氏の作品を書くつもりはございません。短編集にはまだTw氏の話が残っているので、良ければそちらもどうぞ〜！ (2015年8月12日 8時) (
レス) id: 97678ed339 (このIDを非表示/違反報告)
柚樹@アキちゃん廃。実況廃人の廃人(プロフ) - 凄い良作…一気に読み終えましたw最初は睡魔と戦っていたのに一話毎の小ネタ(？)に笑い展開やもどかしさに興奮して…すっかり眠気消えましたww面白かったのでTWさんの他の作品があれば見るつもりです！またコメ欄に現れr(素敵な作品ありがとうございました！ (2015年8月12日 1時) (レス) id: b347cf8ab5 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - お腹がいつも空いてる桜吹雪さん» あ、誤字ですか？ありがとうございます、直しておきますね。 (2015年8月1日 1時) (レス) id: 97678ed339 (このIDを非表示/違反報告)
お腹がいつも空いてる桜吹雪(プロフ) - うわぁぁぁぁぁぁぁ！！ 物凄く面白いです！！ つわはす…引退(泣) そう言えばいつもの有線が聞こえない？でしたっけ そのところ仕様かは分かりませんが 緊張居ちゃうしね。 って書いてあったんですが…気になってしまい… 教えてください！！私気になります！← (2015年7月31日 23時) (レス) id: 8bff0a6bf7 (このIDを非表示/違反報告)
なな☆(プロフ) - 107さん» いえ、いいですよ。こんな素敵な小説に出会えただけでも嬉しいですし、お話もして下さって、十分満足です。話変わりますが、完結おめでとう御座います。新作も楽しみに待ってます。これからも短編集等の更新頑張って下さい。 (2015年7月19日 16時) (レス) id: 6f8e57e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2015年5月20日 21時
