・ ページ6
--- You side
とりあえず2人で誠也の家に帰って、てきとうに頼んだ宅配のご飯を食べた。
「なんかアイス食べたいなー」
末「あー、コンビニ行く？」
「えー」
末「嫌なんかい(笑)」
「めんどいなーって(笑)」
末「あ、じゃあドライブでもする？ついでにアイスも買うたらええし」
「え、いいの？今からそんなん」
末「ええよ、行こ。…俺も行きたいとこあるし」
「そうなん」
末「まぁまぁ、とりあえず行こ！」
そう言って連れてこられた先は、付き合う前、初めて2人で出かけた日にも連れてきてくれた夜景スポット。
誠也のお気に入りの場所。
休みの日でも人が少ないけど、平日の夜なのもあって、さすがに私ら以外は誰もいなさそうやった。
末「久しぶりやわーここ来んの」
「ここわたしも好き」
末「ほんま？それはよかった」
「…なぁ誠也、お仕事、頑張ってな」
末「急やな(笑) うん、がんばるわ」
「ちゃんとご飯食べてな、野菜も食べて」
末「うん(笑)」
「忙しくなるかもやけど、ちゃんとベッドで寝てな」
末「うん(笑) 大丈夫、ちゃんとする」
内心はちょっと寂しいくせに強がって言えへんのよ。こういう時。
でもそんなことは全部お見通しみたいで。
末「時間ある時は電話してくれてもええし」
「…うん」
末「LINEもちゃんと返すから」
「うん」
末「あとこれ、あげる」
「え、なにこれ」
末「開けてみ」
差し出された小さい箱は、大きさの割にはずっしり重くて。
開けてみると、誠也がいつも使ってる香水やった。
「え、これって」
末「俺が使ってる香水。これいつも好き言うてるから。」
「うん、好きやけど……今日なんかの日やっけ？」
末「ちゃうよ(笑)」
誠也なりの愛情で、優しさ。
これ以上ないくらい嬉しくてありがたいこと。
そやのに、そんなことは分かってんのに、私ってほんま可愛くないことしか言えへんねんな。
対して、真っ直ぐにわたしの目を見てキザなことをサラッと言う誠也。
末「しばらく会われへん間もそれで俺のこと思い出しとき。そしたら寂しないやろ」
嬉しい。嬉しすぎる。
けどさ。……ちょっとだけ、泣きそうやわ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1493人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きうい | 作成日時：2023年1月31日 0時
