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--- You side
部屋が薄明るくなってきたのを感じて目が覚める。
ポツポツと聞こえる雨音に、見慣れない天井、覚えのある香り。
そうか、昨日ひとりで焼き鳥食べに行って、正門くんに会って話聞いてもらって、それから…
寝起きの働かない頭で一生懸命考えたけど、どういう経緯でここに来たんか思い出せへん。
でも末澤さんと一緒に帰ってきたことは覚えてる。
なんでやっけ。てか待って？
まさかと思って隣を見ると、綺麗な顔ですやすや寝てる先輩。
うそ。末澤さんの家？で、一緒に寝た…？
目を閉じて半分寝ながら考えてると、だんだん思い出してきた。
正門くんの優しさに甘えていっぱい飲んでそのまま寝てしもて、ほんで気付いたら末澤さんがいて、車で連れて帰ってもらって。
あ、服……これ末澤さんの、やんな。
なかなかの状況やってことに気付くと急にドキドキしてきて、スウェットの袖をきゅっと握った。
全身が、いつもの甘い香りに包まれてる。
私、末澤さんのこと好きなんや。
昨日正門くんと話して気付いた。もう認めるしかないところまで来てるって。
自覚すると途端に気持ちが溢れてきて、心臓がギュッとなった。
今ひとりで起きてもどうしようもないし、しばらくこのままゴロゴロしとこ。
そう思って少し体勢を変えようと手を動かすと、ちょうど末澤さんの手に当たった。
初めて食事に行った時、重ねられた手の温度を思い出す。
寝てるしちょっとくらい、なんて思って、今度はわざと、そっと手に触れてみる。
そしたら末澤さんの手がゆっくりと動いて、そのままきゅっと握られた。
えっ、起きてる？
焦って顔を見たけど目は閉じてる。
どうしよう。手繋いでるやん。
一人であたふたしてると、隣から『んー』と掠れ気味の声が聞こえてきた。
末「ん…おはよ」
「お、はよ、ございます」
末「(笑)」
何この世界線。
末澤さんは笑ってるけど手は握ったままやし。
「あの、昨日はご迷惑をおかけしまして…すみませんでした…」
末「それはええけど…正門がいてくれたから良かったけど一人で潰れてたら危なかったで？」
「そうですね…」
末「ま、こうやって会えたから俺は嬉しいけどな」
あかん。そんな優しい笑顔でそんなこと言うのは反則や。
それに迷惑とかよりも私が危なかったことを心配してくれたのが、ちょっと嬉しかった。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
