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--- You side
いつになく真剣に、少し苦しそうに話す彼からは、痛いほど気持ちが伝わってきた。
最後まではっきり言わんのだって優しさで、そういうところは誰よりもかっこいいと思う。
「ありがとうね、言うてくれて。…私なんかを好きやと思ってくれて。」
小「…おん。まぁいつでも頼ってや、俺の右腕は空けとくんで」
「右腕だけなん？(笑)」
小「だる、しゃーないし両腕空けといたるわ」
「あははっ、優し(笑) …ありがとう、ほんまありがとう。」
小「…とりあえずそろそろケーキ食わん？買ってきてくれたんやろ？」
「あっ、せやな、食べよっか！」
今日ばっかりは、彼の精一杯の照れ隠しを何も言わずに受け入れることにした。
箱からケーキを出すと、小島くんは少し悩んでいちごタルトとチョコケーキを選んだ。しっかり2個食べてくれるのも嬉しいし可愛い。
小「あー、言うてもうたなー、大晴〜〜」
「そっか、大晴くんは知ってるんや？」
小「唯一話してる」
「そっ、か。なんか恥ずかしいな」
逆に言えば、これからは3人でもっと自由に恋バナとかもできるってことかも？そう思うとそれはそれでアリやな、なんて思ったりもした。
小「なぁ、1個だけ、誕生日を理由にわがまま言うてもええ？」
「うん、いいよ」
小「ちょっとだけ、ほんまちょっとでいいから、…抱きしめさせて欲しい」
「……誰にも言わん約束で」
小「わかった」
そう短く答えた小島くんに、ふわっと正面から抱きしめられる。
身体が大きいからか誠也とハグする時とはまた違うなぁなんて、アホな感想しか出てこん。
「あの、そろそろ…」
小「ごめん、もうちょっとだけ」
私の体に巻き付いた腕の力が少し強くなった。
でも、もうそろそろあかん。
「な、もうおしまい」
小「嫌やった？」
「ちゃう、ドキドキするから……やからもう、おしまい」
ゆっくり離れて、わたしの頭を軽くぽんぽんとした小島くんは、ケーキにがっつき始めた。
小「幸せになれよ、末澤さんと」
「…うん。ありがと。」
これはきっとモテ期ってやつやったんや。
そうとでも思っとくことにする。
「小島くん、これからも変わらずよろしく」
小「おう」
小島くんもきっと、いつか私よりもっと素敵な人と出会えるよな。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
